大正大学(東京都豊島区)表現学部メディア表現学科の学生が下田市の地域資源を題材に映像作品を制作する合宿型授業「下田まち物語プロジェクト」が10月19日〜22日、下田市内で行われた。
交流会でプロジェクトの趣旨を説明する田島悠史准教授(関連画像12枚)
同プロジェクトは、課題解決型学習(PBL)の一環として2024年度に始まり、今年で3年目。担当教員の田島悠史准教授がアートマネジメントの世界に入るきっかけになった地が下田であったことと、プロジェクトコーディネーターの長谷川隼人准教授が下田市白浜出身であることから意気投合し、「下田を舞台に授業をやってみよう」と立ち上げた。
授業では「下田まち遺産」を所管する下田市建設課都市住宅係や静岡銀行下田支店などと連携。建物や風景の記録にとどまらず、歴史的な文脈や人々の記憶・エピソードを手がかりに、学生の視点から下田の「まち物語」を構想し、5分以内の映像作品(ドラマやドキュメンタリーなど)として表現する。
今年は同学科2年生の19人が参加し、5グループに分かれて活動した。田島准教授と長谷川准教授の指導の下、下田旧町内エリアを中心にロケハンや取材、撮影に臨んだ。
2日目の20日夜には、宿泊拠点となったゲストハウス&コリビングスペース「風まち下田」(下田市武ガ浜)で地域関係者との交流会を開いた。市職員や静岡銀行下田支店の行員、地元のメディア関係者や事業者ら約10人が参加し、各学生グループが参加者の元を回りながら対話。学生たちは現地を歩いて見つけた着眼点や企画プランを紹介し、地域ゲストから地元ならではのエピソードや作品へのアドバイスに耳を傾けた。学生たちからは「もっと街のことを知るため、教えてもらった名物居酒屋にこれから繰り出してみたい」などの声も聞かれた。
最終日の22日には下田市民文化会館(四丁目)小ホールで成果報告会を開き、実習期間中に撮影・編集した仮完成作品を上映した。会場では、美大受験の挫折を機に下田を訪れるショートドラマ「ぼくを探しに」(Aチーム)をはじめ、住民との対話から目に見えない街の魅力を探る「なんもないが、ある」(Bチーム)、路地が持つ避難路としての歴史に着目した「ヒアイ」(Cチーム)、下田を長年を見守ってきた店主らの語りを紡いだ「記憶のまち」(Dチーム)、合宿中に撮影した約1500枚の写真で構成したプロモーションビデオ「シモダ(music video)」(Eチーム)の5作品を発表。出席した地域関係者らと意見を交わした。
長谷川准教授は「実習を始めて今年で3年目を迎えた。以前はふるさと下田の失われていく姿ばかりに目が向いていたが、学生たちと共に街を歩き、地域の方々と交流を重ねる中で、下田に新しい風が吹き込んでいることを年々実感している。映像作品作りを通じた学生と地域の方々との出会いや交流が双方にとって豊かな記憶として残り、新たな何かを生み出すきっかけになれば」と期待を込める。
学生たちは今回の報告会で寄せられた意見や感想を持ち帰り、大学での再編集・ブラッシュアップを経て11月中旬に作品を完成させる予定。完成した作品はウェブでの公開や地域での上映会などを通じて発信し、関係人口の創出や継続的な地域連携につなげていくという。