元空き倉庫を舞台にしたエンターテインメント型ミクロネーション(極小国家)「ウェアハウス公国」の建国祭が9月26日、下田のにぎわい創出施設「WITH A TREE」(下田市西本郷)で開かれた。国内外から集まった約30人の「国民」が建国を祝い、AI時代を見据えた新たなライフスタイルの社会実験をスタートさせた。
同公国は、同施設を運営する「local is beat」の梅田直樹さんや、マーケティングやブランディングを手がける「NY&Co.」の根岸泰之さんらが立ち上げた社会実験プロジェクト。AIやロボットの社会実装が進み生活のために働く必要性が薄れる2030年以降の未来を見据え、人間がその余白の時間をどのように楽しんで使うかを探ることを目的に企画した。「誰かについ話したくなる体験」をエンターテインメントと捉え、国民それぞれが枠にとらわれない「遊び」を仕掛けていくプラットフォームを目指している。
7月に「建国宣言」を行い、デジタル市民権(NFT)の販売を開始。この日の「建国祭」と題した国民参加型の式典では、元家具店の倉庫をリノベーションした会場に、20〜40代後半を中心に、東京や埼玉などの首都圏をはじめ、ドイツやインドネシアなど国内外から約30人の国民が集結。交流を深めながら、今後公国で展開したいユニークな「企て」について語り合った。9月末現在、同公国の国民数はオランダや台湾など世界各地で70人を超えているという。
埼玉県から参加した杉本和仁さんは「『面白そう』という直感で参加した。社会の枠にはまらず軽やかに生きる人たちと語り合う中で、自分一人では思いつかないアイデアが次々と生まれた。みんなで楽しむことが、結果として社会課題の解決にもつながっていく希望を感じている」と笑顔を見せる。
「公爵(Duke)」を務める根岸さんは「AI浸透時代は『生きるために働く』から『楽しむために時間を使う』へとシフトしていくはず。ここは国民が自由に遊び、思い出を作れる場所。ウケるネタを遊び気分で作り出し、ゲラゲラ笑う回数を増やしていきたい」と話す。
「国王」を務める梅田さんは「下田に多様な人が行き来し、好きなことを楽しめる場にしたい。まずは面白いことを面白いまま続けていく。その先に人が集まり、新しい仕事や消費が生まれ、地域経済にも波及していく形が理想」と今後の展望を語る。