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温泉熱で「トリコエビ」陸上養殖 南伊豆町と東邦自動車が包括連携協定

岡部町長(左)北野社長(中央)加藤慧さん(右)

岡部町長(左)北野社長(中央)加藤慧さん(右)

 南伊豆町と、輸入車部品販売などを手がける東邦自動車(大阪市福島区)が4月22日、未利用の温泉資源の活用と地域活性化を目的とした包括連携協定を締結した。同社が同町加納地区で進める世界最大級の淡水エビ「オニテナガエビ」の陸上養殖事業を軸に、新たな地域産業の創出を目指す。

産卵準備のオニテナガエビ(関連画像6枚)

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 東邦自動車は2025年8月、オニテナガエビの試験飼育を始めた 。東南アジア原産で体長30センチほどに成長し、海外では高級食材として知られる。

 同事業の最大の特徴は、徹底した「省エネルギー」と「資源循環」にある。約100度の自噴温泉の熱を活用して水温を28~32度に維持することで、冷暖房設備に依存しない生産体制を構築。「86年間猛暑日ゼロ」といわれる南伊豆の気候も後押ししているという 。

 飼料には、「熱川バナナワニ園」(東伊豆町)で栽培されたバナナの廃棄予定だった皮を利用 。静岡県立大学とも連携して専用飼料の開発を進めるなど、環境負荷の少ない循環型モデルを実現している 。

 ブランド名は、青い体色が加熱で赤く変化する特徴と「人々をとりこにする」という期待を込めて「トリコエビ」と命名。キリ箱での提供など高付加価値化を図り、イセエビに匹敵する価格帯での市場開拓に挑む。現在は約1200匹を飼育しており、産卵から出荷まで施設内で完結する体制が整いつつあるという。今年夏からは近隣の旅館などへ試験的に出荷し、将来的には月間3000匹規模の安定供給を目指す。

 今回の包括連携協定では、産業振興や販路開拓の共同推進に加え、地元小中学生の施設見学や、静岡県立下田高校南伊豆分校と連携した人材育成など、教育分野での取り組みも盛り込む。

 締結式で岡部克仁町長は「やっとこの日が来たという思い。全国の多くの人に知ってもらい、味のとりこになってほしい」と期待を寄せた。東邦自動車の北野宏樹社長は「南伊豆町の手厚い支援があってこそ実現した事業。温泉熱の可能性を引き出し地域に貢献したい」と意気込む。

 社内で事業を提案し、南伊豆へ移住して立ち上げをけん引する養殖事業部責任者の加藤慧さんは「現在は施設の稼働率15%程度。一日も早く安定供給できる体制を整えたい」と意欲を見せる。

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