下田市旧町内に住む臼井克代さん宅で、数十年に一度しか花を咲かせないとされる古典園芸植物「観音竹(カンノンチク)」が2年連続で開花し、家人や近隣住民らを驚かせている。
観音竹は「竹」と名に付くものの、リュウキュウシュロなどに近いヤシ科の常緑低木。江戸時代から「福を呼ぶ縁起の良い植物」として親しまれてきた。花を咲かせることは極めて珍しく、「30年~40年に1度」ともいわれ、一生に一度見られれば幸運とされるほど希少価値が高い。
花は葉の付け根から頑丈な房状に伸び、小さな花が密集して稲穂のような姿を見せる。開花が進むにつれてクリーム色からピンク、赤色へと変化し、まるで海のサンゴを思わせる独特の美しい形状になるのが特徴。臼井さん宅の観音竹も現在、鮮やかなピンク色のエキゾチックな花を咲かせている。
この観音竹は20年以上前、友人から「株が増えすぎたから」と譲り受けたもの。当時は正式な名前が分からず、姿が酷似している同属の「シュロチク」だと思い込んだまま、長年大切に育てていたという。
転機が訪れたのは昨年5月。20年目にして初めてピンク色の花を咲かせたが、ちょうど同じ時期に開花したシュロチクの花が淡い黄色だったことから、臼井さんは「何かが違う」と違和感を覚えた。そこで詳しく調べた結果、育てていたのがシュロチクではなく、より希少な観音竹だったことが判明した。
それからちょうど1年がたった今年5月、庭の手入れをしていた臼井さんは、再び同じ株から新しい花穂が伸びているのを発見。滅多に拝めないはずの観音竹の花が2年連続で開花するという奇跡的な現象に、「まさか2年続けて咲いてくれるとは夢にも思わなかった」と驚きを隠せない。
臼井さんは「観音竹には『日々の平安』という花言葉がある。世の中がいろいろと騒がしい今の時代に、ちょうどぴったりの温かい言葉。この奇跡の開花を通じて、周囲の人に小さな癒やしと平穏を届けられたら」と話す。