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Uターンした地域のカリスマが中学生に講演 「都会へ戻りたいか?」の質問も

Uターンした地域のカリスマが中学生に講演

Uターンした地域のカリスマが中学生に講演

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 伊豆南エリア(賀茂地域)で活躍する大人たち「カモスマ(賀茂のカリスマ)」による出前講座が9月5日、松崎中学校(松崎町江奈)で行われた。主催は静岡県賀茂地域局で、カモスマが講演会や動画を通じてその暮らし方を発信する事業の一環。

イラストレーターとしても活躍する土屋尊司さん、作品を見せながら話をした

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 今回授業を行ったカモスマは、下田市白浜で温泉民宿「勝五郎」を営む土屋尊司さんと、松崎町那賀で「三余(さんよ)農園」を受け継いだ土屋人(じん)さん。2人とも賀茂地域で生まれ育ち、県外で学び就職した後に故郷へUターンして事業を始めた。

 土屋尊司さんは一部上場企業でデザインや建築の仕事に携わった後、パートナーの昌代さんと共に下田へ移住。当時既に廃業していた実家の温泉民宿を自ら設計してリノベーションし、再開してから今年で6年目になる。民宿は尊司さんの祖父が1964(昭和39)年に始めたもので、事業自体の歴史は半世紀以上となる。

 Uターンしたきっかけとして土屋尊司さんは「夫婦で共に携われる仕事を探していたことと、実家でもある温泉民宿が寂しい状況になっていて悲しく思ったことが重なった。県外で暮らしたことで、改めて下田の自然の圧倒的な美しさにも気がついた」と振り返った。将来への心構えとして、「Uターンした際、空間デザイナーをしていたことがさまざまな面で役に立った。皆さんもぜひ未来を意識した仕事選びを」と促した。

 地元・松崎で農園を経営する土屋人さんは高校時代から故郷を離れて暮らし、大学時代とビジネスマン生活を経た後、静岡県果樹研究センターで1年間学び、Uターンして実家を継いだ。三余農園は1934(昭和9)年に初代が農商務省の試験場からネーブルオレンジを譲り受けたのがきっかけで開園、その歴史は100年以上に及ぶ。

 「もともと物を作ることが好き。物が売れるように工夫することも楽しい。例えば松崎町の特産である桜葉の塩漬けも、そのままでは販路が限られるので、チョコレートと合わせた商品を企画している。そのためにカカオ作りを始めようと模索している」と土屋人さん。「100年以上続いてきた事業をやめるのはもったいない。5代目の自分が引き継げて良かった」とも。

 講演会後、中学生たちは各教室へ戻って2人のカモスマを改めて迎え、一人一人が直接質問できるトークタイムも設けた。「また都会へ戻りたいと思いますか?」の質問に対して、2人とも「もう戻りたいとは思わない。不便を感じることも特にはない」と答えた。

 賀茂地域局地域課の西ヶ谷一男さんは「これまでに約30人のカモスマたちをピックアップしてきた。代々のカモスマたちの協力も得ながら、賀茂地域に住み続けたいと子どもたちに思ってもらえるきっかけ作りをしていければ」と話す。

 同局では、静岡県公式ユーチューブチャンネル内「19ch賀茂のカリスマ」で9月6日から毎週、動画を配信。地元誌や地元ケーブルテレビでの配信も予定している。

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