世界最大のトカゲ「コモドオオトカゲ」の一般公開が10月31日、体感型動物園「iZoo(イズー)」(河津町浜)で始まった。繁殖を目的にインドネシアから雄と雌の2頭が貸与されるのは国内初。絶滅危惧種に指定されている希少動物の保全と繁殖に向け、新たな一歩を踏み出した。
コモドオオトカゲは全長3メートルを超えることもある世界最大のトカゲ。一般には「コモドドラゴン」として知られ、インドネシアのコモド島やリンチャ島など限られた地域にのみ生息する。生息域の狭さなどから国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで絶滅危惧種に分類され、ワシントン条約により国際取引も厳しく規制されている。国内ではこれまで名古屋市の東山動植物園で雄1頭が飼育されていたが、繁殖を目的とした雄雌のペア受け入れは国内初となる。
同園ではこれまでも希少なは虫類の繁殖に取り組んできた。アルダブラゾウガメの繁殖実績があるほか、2014(平成26)年にはミミナシオオトカゲの飼育下での自然ふ化に世界で初めて成功。培ってきた飼育・繁殖の知見を生かし、今回のコモドオオトカゲの繁殖に挑む。
一般公開初日は開園前の9時には入場待ちの列ができるなど、多くの来園者が詰めかけた。9時45分から飼育室前で除幕式が行われ、白輪剛史園長は「11年間インドネシア政府と交渉を続け、やっとこの日を迎えることができた。単なる見せ物としてではなく、繁殖を目指すことを粘り強く説明し、理解と信頼を得ることで実現できた」と振り返り、「これから繁殖にチャレンジしていくので、何度も足を運んでその過程を見守ってほしい」と呼びかけた。
来賓として出席した河津町の大川良樹町長は「コモドオオトカゲの公開は伊豆半島初であり、白輪園長の尽力に感謝したい。河津町だけでなく伊豆全体にとっても千載一遇のチャンス。これを機に伊豆を盛り上げていきたい」と祝辞を述べた。その後、来園者のカウントダウンに合わせて白輪園長と大川町長が幕を引くと、ガラス越しに姿を現したコモドオオトカゲに来園者から歓声が上がった。
南伊豆町から訪れた女性は「は虫類が好きで同園には何度も来ている。コモドオオトカゲのつがいは日本初と聞いており、住んでいる近くで見られるのはとてもうれしい」と声を弾ませた。神奈川県から訪れた男性は「朝早く起きて来たかいがあった。除幕したらちょうど目の前にいて迫力があり、意外と動き回ってくれて驚いた。これから赤ちゃんが生まれて大きくなっていく姿を楽しみにしている」と期待を寄せた。
白輪園長によると繁殖の機会は年に1回。「3〜4月ごろから同居させ、順調にいけば9月ごろに産卵する。1回に20個ほどの卵を産み、翌年の3〜4月にふ化する」という。今後は飼育環境の充実を図りながら繁殖に取り組み、種の保存につなげていく。
さらに園内では現在、コモドオオトカゲの一般公開に合わせ、誠恵高校(沼津市)芸術コース3年の牧内春弥さんが制作した陶芸彫刻「Komodo Liminal(コモド・リミナル)」の特別展示も行われている。同作は国内公募展「第110回二科展」の入選作。土と釉薬(ゆうやく)で手足のいびつな形状や皮膚の質感をリアルに再現する一方、尾の部分をレゴブロックで構築した異色作となっている。
同園へのコモドオオトカゲ歓迎の思いからコラボレーション展示が実現した。展示は園内特設スペースで11月下旬まで。本物の生体と併せてアートの視点からもコモドオオトカゲの迫力を楽しむことができる。