下田の歴史的名所「お吉が淵」(下田市河内)で9月19日、地域住民や市内外から集まった有志らによる清掃活動が行われた。地域コミュニティー「IZU DAO」が協力し、約2年半ぶりとなる池の清掃を実施。滞在中の外国人デジタルノマドらを含む約30人が集まり、汗を流した。
お吉が淵は、幕末の開国史に翻弄(ほんろう)された芸者「唐人お吉」が身を投げたと伝わる場所。毎年3月27日の命日に行われる供養祭「お吉祭り」では、お吉と恋人の鶴松に見立てた2匹のニシキゴイが淵へ放流される。今回の清掃では、そのコイを飼育・保護する池の底にたまった泥の除去作業などを行った。
これまでは地域住民から成る有志団体が年1回の清掃を担ってきたが、高齢化に伴う担い手の減少により団体が解散。手入れが行き届かず泥がたまっていたことから、今年5月に「地域の力や新しいつながりを生かせないか」とIZU DAOへ相談が寄せられ、現地視察や関係者との調整を重ねて今回の清掃プロジェクトが実現した。
IZU DAOは2025年11月から、感謝やつながりを循環させるポイント制度「IZU POINT」を軸に活動。地域住民らが募集するさまざまな「クエスト(地域貢献活動)」を達成することでポイントを獲得でき、ためたポイントは市内の提携店や宿泊施設などで体験やサービスと交換できる。今回の清掃もクエストの一つに位置付けられ、参加者には2000ポイント(1ポイント=1円相当が目安)が付与された。
当日は市内をはじめ、埼玉から始発で駆けつけた参加者や外国人デジタルノマドなど多彩な顔ぶれが参加。長靴などを履いて川とつながる池に入り、底に沈んだ大量の泥や落ち葉をスコップなどでかき出すと、陸上の参加者がバケツリレーで外へ運び出した。当初は2時間の作業を想定していたが、大勢の協力により約1時間半で完了した。
IZU DAOを運営する「IZUとDAO」共同代表の近藤ナオさんは「IZU POINTはさまざまな立場を超えて協力するためのツールにしたいと立ち上げたもの。大変な作業も、見方を変えれば貴重な体験となり、楽しんで参加してもらうことができる。今後も地域の困りごとを多様な人たちの力を借りて解決していきたい」と意欲を見せる。
作業後は、付与されたポイントを使って近隣のなまこ壁の古民家「雑忠(さいちゅう)」の温泉で汗を流すなど、参加者同士が交流を深める姿も見られた。