地域資源としてのアボカドの可能性について理解を深める「新町のアボカドの観察・保全ワークショップ」が5月2日、「新町の大ソテツ」(河津町峰)周辺で開かれた。約15人が参加し、座学と現地作業に取り組んだ。
主催は、同町の地域おこし協力隊員で、静岡大学農学部・同大学院博士課程の学生でもある岡愛香梨(おか・あかり)さん。岡さんはメキシコ留学の経験を生かし、アボカドの産地化やアマギアマチャの生産実験、移住促進コラムの執筆など、農業と研究の分野で幅広く活動している。
河津町のアボカドは、元町長の故・正木源七郎さんが「ミカンに代わる産業に」との思いで栽培を始めたのが起源。1963(昭和38)年に定植され、温暖な気候を背景に1971(昭和46)年には日本で初めて露地栽培での実の収穫に成功した。こうした歴史も背景に、静岡県は「国産アボカド発祥の地」とされており、近年は県を挙げて産地化プロジェクトを進めている。
ワークショップ前半の座学では、アボカドがクスノキ科の果物であることや、成熟とともに脂質を蓄える特性などを学んだ。アボカドは「森のバター」とも呼ばれる高カロリーな果物だが、その脂質のほとんどが体内で不要なコレステロールを回収する不飽和脂肪酸であることや、ビタミンE・カリウムが豊富で「世界一栄養価の高い果物」としてギネスブックにも登録されていることなどが紹介された。
その後、国指定天然記念物「新町の大ソテツ」の向かいにあるアボカドの木へ移動。葉から香るハーブのような香りを確かめたり、「雌雄異熟花」の性質を持つ花を観察したりしたほか、枯れ枝の除去やコケ取りなどの保全作業にも取り組んだ。
参加者は回覧板やSNSで募集。町内各地から参加者が集まったほか、移住者の姿も目立った。神奈川県からの移住者である松本かずみさんは「庭先にアボカドの木が1本ある暮らしに憧れる」と話し、河津町役場で働く渡邉美智子さんは「かんきつ畑に加え、新たな作物としての可能性を感じた」と期待を寄せた。
サポート役として参加した河津町産業振興課の稲葉健太さんは「スモールスタートで町民の支持を得ながら浸透していけば」とエールを送る。岡さんは「新町のアボカドを見たことがなかった人々にも知ってもらえてうれしい」と手応えを語り、「河津町は歴史的にも気候的にもアボカド栽培の優位性がある土地。『国産アボカドのふるさと・河津町』として、内外に広く認知されていけば」と今後に期待を込める。