東伊豆町の熱川温泉で台湾ちょうちんを活用した夜の景観づくりや地域活性化に取り組む「『熱川に、九フンが灯る。』まちづくり協議会」の事業「熱川温泉×台湾九フン 灯(あか)りのまちづくり」が、優れた観光の取り組みを表彰する第10回「ジャパン・ツーリズム・アワード」で入賞を果たした。伊豆半島の団体や事業による入賞は今回が初めて。
熱川温泉の街並みと川沿いを幻想的に照らす台湾ちょうちんの夜景(関連画像5枚)
同アワードは、日本観光振興協会、日本旅行業協会(JATA)、日本政府観光局(JNTO)が主催。今回は国内外から過去最多となる272件の応募があり、熱川温泉の取り組みは夜間消費の拡大や国際交流と地域活性化を融合させた点などが高く評価された。
かつて昭和の時代に大勢の湯治客や団体客でにぎわった熱川温泉だが、時代の変化に伴い宿泊客が激減。旅館の廃業や建物の解体が進み、夜になると人通りが途絶え「夕食後に温泉街を歩いて楽しめる場所がない」という深刻な課題に直面していた。
この現状を打破しようと、旅館経営者や観光施設の若手有志らが立ち上がり、2024年4月に同協議会を発足。急峻な坂道や階段が続き、至る所の温泉櫓(やぐら)から湯煙が立ち上るレトロな街並みが、台湾を代表する名所「九フン」の幻想的な情景と酷似していることに着目し、台湾ちょうちんによる景観づくりに着手した。当初は数百個だったちょうちんは、現在では温泉街全体で約1500個が夜空を赤く染める規模へと成長した。
景観整備にとどまらず、5000人以上を動員した「春色食夜市」をはじめとする台湾グルメや足湯を楽しめる夜市の定期開催なども展開。2025年10月には、台湾の「九フン商圏発展協会」と同協会初となる海外観光地との友好交流協定を締結し、熱川に「九フン」、九フンに「熱川」と記されたちょうちんをそれぞれ掲出し合うなど、国境を越えた双方向の交流へと発展を遂げている。
9月24日に都内で行われた授賞式には、同協議会の役員や事務局のほか、伊豆急行や台湾観光協会の関係者も出席し、受賞の喜びを分かち合った。同協議会の渡邊健司会長は「この受賞は、ちょうちんの設置や夜市の開催に力を貸してくださった地域の皆さん、熱川を訪れてくださった皆さんのおかげ。九フンの皆さんも受賞を一緒に喜んでくださり、海を越えて築いてきた交流を改めてうれしく感じている」と話した。
※九フンの「フン」は正しくは「にんべんに分」