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西伊豆町で「ジオカフェ」 珪石鉱山見学通じて地質学の知見広げる

西伊豆町・宇久須の珪石鉱山

西伊豆町・宇久須の珪石鉱山

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 西伊豆ビジターセンター「こがねすと」(西伊豆町宇久須)で3月27日、伊豆半島ジオパークをさまざまな角度から見て地域の魅力を発見するイベント「ジオカフェ」が開かれた。

伊藤所長案内のもと東海工業を見学(関連画像6枚)

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 伊豆半島を構成する15市町から成る伊豆半島ジオパークには、地質学的な見どころとされるジオポイントの数々が点在している。「美しい伊豆創造センター」(伊豆市)が主催するジオカフェは2018(平成30)年から年5~6回、ジオポイントを有する各市町を巡りながら開かれているもので、各回テーマを決めて講演やフィールドワークを行っている。西伊豆町では2月が初開催だったが、募集開始からすぐに定員に達したため、同様の内容を急きょ3月にも実施することとなり、この日は39人が参加した。

 西伊豆町宇久須には大きな珪石(けいせき)鉱山があり、一時は日本の板ガラスで使われる珪石の9割がここで生産されるほど産出が盛んだった歴史を持つ。今回のイベントでは、その歴史や文化をテーマに「珪石の山のふもとで」と題したトークイベントを開催。同町に珪石産業をもたらした東海工業伊豆事業所の伊藤嘉規所長と高橋敬治元所長、ガラス作家の五木田淳子さん、ジオガイドの仲田慶枝さん・浅賀丈吉さんらが登壇し、当時の写真やガラス製品ができる過程が分かるサンプルを見せながら、これまでの歴史について語った。

 トークイベント後は会場を移し、現在も操業している東海工業の工場内や2008(平成20)年に閉山した珪石鉱山など、普段は立ち入ることができない場所を伊藤所長の案内で見学。珪石鉱山ではジオガイドからの説明を受けながら、参加者らが珪石をルーペで観察する姿も見られた。閉山した鉱山は森林法に基づき緑化が義務付けられているが、土壌の性質や鹿の食害による課題もあるという。高橋元所長は「これまでは関係者以外立ち入り禁止としていたが、数年前から見学希望者を受け入れ始めた。多くの人に見てもらい、資源の活用方法を見出していけたら」と同社の思いを説明した。

 「鉱山と宇久須港を結ぶゴンドラが住宅街のすぐ上を頻繁に行き交う光景が少し怖かった」と当時を振り返りながら話したのは、宇久須に住む鈴木美和子さん。「珪石鉱山に初めて登ったが、想像を上回る素晴らしい景色だった。このまま置いておくのではなく、観光資源にも活用できたら」とも。

 イベントを企画した「美しい伊豆創造センター」の塚本春菜さんは「地域のためにも価値があり、町外の人からも新しい発見がある良い企画になった」と振り返る。

 次回のジオカフェは長泉町での開催を検討している。

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