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東伊豆稲取「水下茶庵」竣工 学生たちが手掛けた交流拠点兼ねた工房

「水下茶庵」竣工式の様子(2)

「水下茶庵」竣工式の様子(2)

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 建築を学ぶ学生たちが空き家改修と地域活性に取り組む「芝浦工業大学空き家改修プロジェクト」が手がけた「水下茶庵(みずしたちゃあん)」(東伊豆町稲取)の竣工式が3月16日に開かれた。

「水下茶庵」施設内の様子(関連画像7枚)

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 同施設は東伊豆町が所有し、同プロジェクトが2014(平成26)年に手がけた第1号物件。夏季休暇の2週間で学生たちが内装工事を行ったものの、その後の利用者が見つからず倉庫となっていた。同プロジェクトが、「改修した物件が、人に、地域に活用されなければ改修した意味がないという教訓を得た建物だった」という。

 そうした建物の活用に手を挙げたのは、地域おこし協力隊として稲取細野高原の利活用を担当する熊谷宏之さん。くろもじ茶の製造にも取り組む熊谷さんだが、現在の工房の建物で間もなく改修工事が始まるのに先立ち、同物件を新たな作業場所とすることを決めた。

 交流拠点としての役割も担う工房とするため、出入り口の位置を変更し、前面をクリアガラスにして視認性を高めた。さらに、内部の什器も外からの見え方を考慮して配置。建物は損傷やゆがみが大きく、さまざまな問題もあったが、地域住民や職人たちの協力を得ながら現場で調整し、施工していったという。

 「学生たちの日々の作業や努力を見てきた。地域の方にも親しんでもらえる場所にしたいという彼らの思いをしっかりと形にしていきたい」と話す熊谷さん。「単なる工房ではなく、くろもじ茶を通して地域の人たちが集える交流拠点になれば」と意欲を見せる。

 同大建築学部3年の戸屋志月さんは「すてきな空間を学生に託していただき光栄。半年という短期間での解体、設計、施工だったが、東伊豆町役場や地域住民の支援により、水下茶庵プロジェクトを無事竣工できた」と話す。「この活動を通じて、東伊豆は第二の故郷になった。今後も町に貢献し、後輩たちが東伊豆を思い、行動する輪が広がることを願う。引き続き、温かく見守っていただければ」とも。

 同プロジェクトでは3月31日まで、地域住民から物件や事業を募集し、共に事業を作り上げていく「やどかリレー」にも取り組んでいる。これからは改修物件の公募に「やどかリレー」という愛称を付け、ヤドカリが巣を移るように、空き家や空きスペースの改修・活用を通じて地域活性化の輪を広げることを目指していく。

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