
江戸時代からの風習を今に伝える「雛(ひな)のつるし飾りまつり」が現在、稲取文化公園「雛の館」(東伊豆町稲取)を中心に開かれている。主催は稲取温泉旅館協同組合。
「雛のつるし飾り」とは、ひな祭りの際にひな段の両脇に飾る人形。江戸時代から続くと伝えられている稲取発祥の伝統文化。当時は、ひな人形は裕福な家庭でしか手に入らない高価なものだったが、一般家庭の女性たちが古着の端切れを持ち寄り、子どもの健康と幸せを願って小さな人形を作り、ひもでつなげて飾るようになった。この風習は地域の人々によって受け継がれ、現在も大切に守られている。
協賛会場を合わせ4カ所で開催している同イベント。メイン会場の「文化公園雛の館」では、約1万8000個のつるし飾りを展示。日本三大つるし飾りである「傘福」(山形県)や「さげもん」(福岡県)も紹介している。
協賛会場には、江戸時代のひな人形を展示する「なぶらとと」、旧家の座敷で素朴な雰囲気が楽しめる「ふたつぼり」、神社の荘厳な雰囲気と大きな飾りが特徴の「八幡神社」があり、それぞれ個性的な展示が楽しめる。
期間中の3月9日まで、素盞鳴神社で「素盞鳴神社雛段飾り」を開催。118段のひな段に約600体の伝統的なひな人形が美しく並び、屋外でひな人形を飾る段数としては日本一。階段両脇には色鮮やかなひなのつるし飾りも並ぶ。
埼玉から同まつりに初めて訪れた20代女性は「圧倒的な数のつるし飾りを初めて体感して、非常に驚いた。さまざまな飾りがあるからこそ、一つ一つの説明を確認してじっくり見ることができた。土産も購入できるので、帰宅してからも楽しむことができてうれしい」と話していた。
「ひなのつるし飾りは全て手作りのため、作成者によって大きさや使われる布地がさまざまなところが興味深いところ」と話すのは、稲取温泉旅館協同組合の村木友香さん。「それぞれのモチーフには、必ず女の子の良縁や健康を願った言われがある。その言われを調べながら見学するのがお勧め」とも。
3月31日まで無休で開催。3月9日までは素盞鳴神社の段飾りも開催。