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下田で珠洲から防災学ぶシンポジウム ボランティアセンター立ち上げ訓練も

「石川県の先端にある珠洲市から学ぶ」シンポジウムの様子

「石川県の先端にある珠洲市から学ぶ」シンポジウムの様子

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 南海トラフ巨大地震への備えの重要性が呼びかけられている下田市で2月8日、災害ボランティアセンター立ち上げ訓練を兼ねたシンポジウム「石川県の先端にある珠洲市から学ぶ」が下田小学校(下田市五丁目)体育館で開かれた。地域の民生委員や自主防災委員などを中心に約100人が参加した。

QRコードでのボランティア登録を体験する参加者たち(関連画像11枚)

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 市民の防災意識醸成と災害発生時のスムーズなボランティアセンター立ち上げを目的に、下田市では社会福祉協議会と下田災害ボランティアコーディネートの会が協力し、定期的に訓練を兼ねたシンポジウムを開催している。

 今回は2024年1月の能登半島地震や9月の水害時に、自身も被災しながら災害ボランティアセンターの立ち上げや運営に携わった珠洲市社会福祉協議会の神徳宏紀さんとオンラインで中継をつなぎ、シンポジウムを実施。静岡県社会福祉協議会の松浦史紀さんがコーディネーターを務め、下田災害ボランティアコーディネートの会の永谷和之会長と下田市社会福祉協議会の久保田勝さんも登壇した。

 神徳さんは約20ページのスライドを投影し、珠洲市の被害状況や支援の流れを紹介。被災家屋の片付けが進まない要因として、市外の二次避難先から戻れず立ち会いが困難な被災者が多いことを挙げた。併せて、災害ボランティアセンターだけでは支援が不十分なため、被災者のコミュニティーづくりや福祉支援を担う「珠洲ささえ愛センター」を立ち上げた経緯も説明した。

 久保田さんは地震発生後に珠洲市を訪れた経験から「海岸線を車で走っていると、ここは伊豆なのではと錯覚するほど似ている。道路網の状況も似ており、決して他人事ではない」と強調した。

 シンポジウム後は、市内での豪雨災害を想定した災害ボランティアセンター立ち上げ訓練を行った。参加者はQRコードによる参加登録からボランティアの出発、帰着報告までの一連の流れを体験した。

 訓練後、永谷会長は「今日の訓練で体験したのは、実際の災害ボランティアセンター業務のごく一部。誰が何に困っているかを把握することが災害ボランティアの出発点であり、平時の人間関係が非常に重要」と述べた。

 市内から参加した渡辺直人さんは「能登の現場でのリアルな体験談は非常に参考になった。災害ボランティアセンターの仕組みが整っていると感じ、非常時にはこのような体制が不可欠だと実感した」と語った。

 同じく参加した下田青年会議所の荒川智之さんは「災害への備えの重要性を地域の子どもたちにも伝えたい。今日得たつながりを生かして、何かイベントを企画してみたい」と話していた。

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