スクールバスの空き時間を活用した福祉バス「つなげる支援バス」の実証実験が現在、河津町で実施されている。
運営を担うのは河津町社会福祉協議会。同協議会は、町から委託を受けた生活支援体制整備事業の一環として、高齢者の生活向上や介護予防を目的に移動支援の方法を模索してきた。地域包括支援センターや教育委員会との協議を経て、町内の小学生が利用するスクールバスの空き時間を活用する形で実証実験を行うこととなった。
運行ルートは、伊豆急行の河津駅を拠点に3ルートを設定。1つ目は、国の重要文化財に今年指定された南禅寺がある谷津方面。2つ目は地場産かんきつのウルトラ生ジュースで知られる「伊豆オレンヂセンター」を経由する見高入谷方面。3つ目は、は虫類と両生類専門の動物園「iZoo(イズー)」や伊豆今井浜病院を経由する縄地方面。いずれのルートも駅を発着点とした往復経路となっている。
現在運行中の民間バスや町営バスの運行時間と重ならない時間帯を選び、各ルートで午前中に2便を運行。主な利用対象は65歳以上の高齢者としているが、座席に空きがあれば誰でも無料で利用でき、事前申し込みも不要。
運行初日に利用した80歳の男性は「路線バスは朝早いため不便だった。週に数回、昼間に買い物で河津駅周辺に行きたいので非常に助かる」と話していた。
地域包括支援センターの渡辺美智子さんは「社会福祉協議会、行政、教育機関が協力し、この取り組みを実現できた。高齢者を社会とつなぎ、医療機関や商業施設、公共施設を結ぶことで地域全体を少しずつ良くしていきたい」と期待を語る。
福祉バスの定員は28人。実証実験は1月20日まで。