南伊豆のダイビングショップ神子元ハンマーズを運営する「マックス」(南伊豆町湊)が5月10日、海底熟成ワインの引き揚げ作業を行った。
預かった酒を自然豊かな南伊豆町沖の海底にある貯蔵庫で半年間熟成させるサービス「美しき海のワイナリー」を展開する同社。毎年11月に海底15メートルの貯蔵庫に沈めたものを半年後の5月に引き揚げ、洗浄・梱包して配送する。貯蔵庫のある海域は黒潮の影響で冬の間も水温は18度前後で安定しており、海底熟成を経て「香りや味がまろやかになる」という。
今年で3年目を迎える同サービスは、ワインだけでなくウイスキーや焼酎でも利用可能。ダイビング客やリピーターのみならず、全国各地から年々利用者が増えている。
同事業の責任者を務める及川摩利さんは「熟練のダイバーが一本一本丁寧に海底貯蔵庫への保管や引き揚げを行う。海の底に沈められたお酒は波の揺らぎを受け、陸上よりも速いスピードで熟成が進み、まろやかな味わいに仕上がる」と話す。「ボトルはフジツボや貝殻などの付着物に彩られ、自然が創り出す世界に二つとない芸術品としても楽しむことができる。ボトルが眠りについていた美しい海の底に思いをはせながら味わってほしい」とも。
当日は、海底熟成による香りや味の変化を2年前から研究している静岡県立大学・食品化学研究室の寺田祐子助教の研究チームも立ち会った。船上から引き揚げ作業を見守っていた大学4年生の小川真依さんは「船の上からでも15メートル下の海底の作業が見えるほど透き通った海。このきれいな海の中で熟成される神秘的な香りや味の変化を科学的に解明したい」と意気込みを見せる。
料金は、持ち込み海底熟成1本=6,600円。ボートに乗船してダイバーが酒を沈める様子を見学できる「ボート海底熟成体験」やスキューバーダイビングで酒を自分で沈める「海底熟成ダイビング」(以上1万3,200円)などのオプションサービスも用意する。
同サービスは、南伊豆町ふるさと納税返礼品にもなっている。