南伊豆の中心街と子浦を結ぶ国道にポツンとたたずむ小屋とのぼりが特徴の「駄菓子屋まーきぃ」(南伊豆町一色)が12月24日で1周年を迎えた。日曜・祝日のみの営業ながら、地元の家族連れや観光客が入れ代わり立ち代わり訪れ、にぎわいを見せている。
子どもに寄り添う店主の「まーきぃ」こと田代将之さん(関連画像9枚)
店主の「まーきぃ」こと田代将之さんは千葉県出身。30代後半まで地元で農協職員として働いた後、林業に携わりたいと一念発起し、2015(平成27)年に下田市に移住して林業会社に就職した。移住後に出合ったスケボー文化や、その仲間たちの影響でガレージに住むことを夢見るようになり、南伊豆町に倉庫付き物件を購入。「住民が少ないこの町に人が集まり交流する場を作りたい」という思いから、倉庫部分を活用して駄菓子店を始めた。
店内は質素な外観とは対照的に、カラフルな菓子や玩具が所狭しと並び、懐かしさと温かみがあふれる雰囲気となっている。レトロなゲーム機を置く座敷では、子どもたちがミニ四駆のコースを広げて遊ぶこともある。
「地元の子どもたちがお金の使い方を学んだり、集まる人との交流を通じて社会性を育んだりする場になれば」と話す田代さん。田代さんからのアドバイスを受けた子どもたちは、小遣いを握りしめながら、商品棚と田代さんの元を行ったり来たりして夢中でお菓子を選ぶ。
店には観光途中のバイカーが立ち寄ることも多い。田代さんは周辺の観光スポットを、地元の人ならではの情報を添えながら紹介して、ツーリング客も楽しませる。
店内では購入したものの飲食が可能。ビールなどの酒類も提供しており、地元住民が駄菓子をつまみに一杯飲みながら子どもを見守る姿も見られる。
近所に住む桑原勇人さんは「種類豊富な駄菓子を置く店が近所にあってうれしい。安心して子どもを買い物に行かせられるし、計算の練習にもなっている」と話す。一緒に訪れていた娘の月さんは「まーきぃはいろいろなお菓子を紹介してくれるし、話していて面白い」と笑顔を見せる。
ほぼ毎週家族で店を訪れているという町内在住の小泉信也さんは「子どもたちが日曜日になるのを楽しみにしている。来る度に新しい商品が置いてあり、大人もつい買いすぎてしまう」と、この日もかごいっぱいにお菓子を選んでいた。
田代さんは「今後も町の社交場として地域活性化に貢献したい」と意欲を見せ、「甘いものがある場所には悪い人はいない。ここでは年齢や住む場所の垣根なく、自然と楽しいコミュニケーションが生まれる」とほほ笑む。
営業は日曜・祝日の9時~19時。年末年始や夏休みには臨時営業も行う。