大きなビンテージスピーカーを備えた下田の「カフェラルゴ」(下田市白浜)がオープンして、9月で15周年を迎えた。
店内には「パラゴン」や「パトリシアン800」などのビンテージスピーカーが並ぶ
店主の進士薫輝(しんじしげき)さんはかつて、下田市の観光課や都市計画課に在籍し、地域づくりの最前線で市の振興に尽力してきた。伊豆最古の宮・白濱神社の氏子会長も務め、2022年には静岡県神社総代会賀茂支部長として神社本庁から表彰された。
もともと音楽が好きで、たくさんのレコードやCDを収集していた進士さん。自宅隣の別宅にスピーカーと北欧の家具や食器で囲まれた空間を設け、友人たちにお茶を振る舞っていたのが高じて2008(平成20)年9月、「ゆったりと音楽を楽しめるカフェ」をオープンした。
店内に設置するビンテージスピーカーは「パトリシアン800」と、大病を患ったことをきっかけに思い切って購入したという「パラゴン」。どちらも既に生産中止となっている「音楽ファン垂涎」のスピーカー。
音響にも配慮した店の設計を手がけたのは、進士さんの友人でもある建築家の藤井章さん。建築雑誌「チルチンびと」2023年秋号で藤井さんが取り上げられた際、その仕事の一つとして同店が誌面で紹介された。
席数は8席。店内では、午前中はクラシック、午後はジャズを主に流しており、「コーヒーか紅茶(以上500円)1オーダー以上をお願いしている」という。テーブルや窓際には妻・妙子さんが野の花を生け、客の目を楽しませている。
常連客の藤井英次さんは「音楽が好きなのでよく足を運んでいる。進士さんとの会話も楽しい。観光の仕事をしていた進士さんは人のあしらいもうまい」と、店に通う理由を話す。
「地域の人たちに長く楽しんでもらえたら」と話す進士さん。「孫がカフェの跡を継いでくれたらうれしい」とも。
営業は金曜~月曜の10時~17時。駐車場(3台)あり。