地方創生やMaaS関連事業を手がける「うさぎ企画」(本社=静岡県長泉町)と東伊豆町が11月1日、伊豆稲取駅周辺で誰でも乗車可能なワゴン車をオンデマンドで走らせる交通実験を始めた。停留所周辺でさまざまなイベントも開き、移動課題と交流課題の解決を目指す。
オンデマンド交通実験の仕掛け人、「うさぎ企画」の森田創さん(関連画像5枚)
同実験では、「INAZUMA_SHUTTLE(電シャトル)」と名付けた10人乗りワゴン車が、伊豆稲取駅から3キロ圏内にある36の停留所を毎日10時から17時まで運行する。指定した停留所に迎えに来てくれる仕組みで、予約はシニアでも使いやすいよう電話とLINEで受け付ける。料金は1日乗り放題で600円。東伊豆町公式LINEを通じた電子決済だけでなく、車内での現金決済も可能。
「街の魅力は人の魅力」と語る、うさぎ企画代表の森田創さん。「移動を通して東伊豆町の魅力を知ってほしい。新たな交通手段としての役割はもちろん、『動く公民館』のような機能を持った『INAZUMA_SHUTTLE』の利用が、乗客同士の交流やイベント参加を通じた街の魅力の発見につながれば」と狙いを話す。
期間中、移住者による英会話カフェ、ビジネスワークショップ、出張スマホ教室、移住者交流会など40以上の催しを開催する。会場は「旧稲取幼稚園」をはじめとした停留所付近で行い、オンデマンド交通での移動を活用した交流のきっかけ作りを狙う。
「特に観光客や移住者にこの取り組みを通じて稲取の魅力を知ってもらい、そこで感じた魅力を地元の人たちにフィードバックするような取り組みにしたい」と森田さん。「実験に終わることなく継続的な仕組みを作り、他のエリアにも展開していきたい」と意欲を見せる。
実際に利用した20代男性は「初めての利用だったが、予約時間ちょうどに迎えが来て車内も広く快適だった。車内で新たに知り合う人と会話ができて楽しかった。今後もぜひ利用していきたい」と話していた。
実証実験は12月27日まで。