鮮魚店「sakana bacca(サカナバッカ)」などを経営する「フーディソン」(東京都中央区)が10月7日~9日、釣り人の支援に力を入れる西伊豆町と共に首都圏の小学生を対象にした「海のおしごと体験ツアー ツッテバッカの旅」を開いた。
当日は都内在住の5組の家族が参加。初日は、西伊豆町仁科の「はんばた市場」や1882(明治15)年創業の「カネサ鰹節商店」を訪れ、地域の漁業の歴史や現状を学んだ。その後、西伊豆町の魚を味わう時間も。
2日目は朝6時、仁科漁港から海釣りに出発。最初は緊張していた子どもたちも次第に慣れて、それぞれ6~7匹の魚を釣り上げることに成功した。さらに、西伊豆町の「ツッテ西伊豆」プログラムを利用して釣った魚の一部を地域通貨「サンセットコイン」に交換し、地元でのショッピングを楽しんだ。また、その日のランチは釣った魚を自分たちで調理したものを食べた。
最終日は会場を「サカナバッカ中目黒」(東京都目黒区)に移し、自分たちが前日に釣った魚の販売体験に取り組んだ。当日はあいにくの雨模様で客足が鈍かったものの、魚の魅力をPOPで表現したり、魚のサイズや在庫の状況によって価格を変更するなどして、見事に売り切った。
3日間のプログラムを間近で見ていたフーディソンの近井荘太さんは「魚が海から食卓に上がるまでの流れを一気に体験することは、大人でもなかなかできない。初日のカネサ鰹節商店の見学は、付き添いの大人たちにとっても学びの多い内容だった」と振り返る。「最初は釣った魚を触ることもできなかった子どもも、後半では平気で魚を持ち上げるようになっていた。西伊豆の環境が子どもたちの成長を後押ししてくれた」とも。
ツッテ西伊豆の仕掛け人で、今回のツアー企画にも携わった中川めぐみさんは「楽しかったという感想と共に『魚を釣ることや売ることの大変さが分かった』という感想も寄せられた。私たちが伝えたかった、漁業者、鮮魚店、そして命への感謝やリスペクトがしっかり伝わったという実感を得ることができた。魚の販売体験でいろいろな工夫をする子どもたちの自主性には感心するばかりだった」と振り返る。
2人は「多くの期待の声が寄せられているので、再度の開催を検討している」と意気込みを見せる。