祖父から受け継いだ民宿をリノベーションして復活した、白浜大浜海水浴場すぐ近くの温泉民宿「勝五郎」(下田市白浜)が6月6日、営業を再開して5周年を迎えた。
下田出身の土屋尊司さんと愛知県出身の昌代さんが夫婦で営む同民宿は元々、尊司さんの祖父が1964(昭和39年)年に開業した宿で、尊司さんが生まれ育った場所でもある。廃業から3年ほど経過して民家となっていたが、一部上場企業でデザインや設計の仕事に携わっていた尊司さんが自ら図面を描きリノベーションして再開した。
大阪でのビジネスマン生活から夫婦での宿泊業に転身した経緯について、尊司さんは「妻とは結婚当初から『いつかは夫婦2人で何かやりたい』と話していた。たまに実家に顔を出す中で、民宿ではないことに寂しさを感じた」と話す。「妻も海が見える立地や、地に足がついて定住できる環境を気に入り、今後の子育てにも良い環境だと賛成してくれた」とも。
宿には12畳の和室1部屋と7.5畳の和室2部屋の客室に加え、自由に使える共用スペースとして21畳の広間を備える。いずれの部屋も「気に入った家具や思い出の品を置いて、自分たちが居心地の良い空間を作り上げた」という。浴場には温泉を引いている。
同民宿はあえて素泊まりのみとする代わりに、宿泊客とのコミュニケーションに力を入れている。「夫婦ともに人とのコミュニケーションが好き。気の合うお客さまといろいろな話題で盛り上がることもある」と尊司さん。
さらに尊司さんは民宿経営と並行して、地域の観光マップやスポーツ大会のポスターを手がけるイラストレーターとしても活躍している。「宿のお客さまが絵に興味を持って話が盛り上がったり、絵の仕事で知り合った人に宿を紹介できたりしている」という。
今後の展望については、「再開前後に広間での映画上映会を開いたことがあった。またやってみたい」と尊司さん。「まち遺産の建物や小学校でのイラスト講座もやっているので、余裕が出てきたら、それを宿の広間でもやってみたい」と意欲を見せる。
宿泊料金は素泊まり大人1人5,500円~。