賀茂郡初となる児童発達支援事業所「わたもこkids」(下田市西本郷)が5月1日、開設から3カ月を迎えた。同事業所に先駆けて開業していた放課後等デイサービス「わたもこ」(西本郷)も同日、開設から半年を迎えた。
児童発達支援事業所と放課後等デイサービスは、ハンディキャップや発達に特性を持つ子どもたちに対し、通所を通じて専門的な支援を提供する場所。児童発達支援事業所は未就学児を、放課後等デイサービスは小学生から高校生までを、それぞれ対象とする。賀茂郡にはそれらに特化した通所事業所がかつて存在しなかった。
施設を運営する法人の代表を務める野田博美さんは三島市出身。三島市の放課後等デイサービスの管理者として7年間勤務していたが、父の出身地である下田市や賀茂郡に障がい児支援サービスが圧倒的に少ないことを知り「わたもこ」「わたもこkids」の開設を決意した。
「わたもこ」の名前には「綿菓子のようにカラフルで、ふわふわと心地いい場所にしたい」という思いが込められているという。
日々の活動では、主に公園や体育館での体を動かすレクリエーションや、宿題のサポート・おやつ作りなど、それぞれの発達や個性に応じた支援を行っている。保護者との密な連携のため、就労形態や家庭環境に配慮した送迎や、「LINE WORKS」を利用した連絡帳も活用している。
「小さな事業所だからこそできる柔軟な運営を心がけている」と野田さん。「利用開始当初に疲れ切っていた保護者が『化粧をする余裕ができた』『普通に買い物ができるようになった』と、安心した顔で話してくれるのがうれしい」とも。
現在のスタッフは、介護福祉士や保育士が両事業所合わせて10人。常勤の理学療法士が、個々の課題に合わせたカリキュラムやリラクセーションを提供しているのも特徴の一つ。
今後は、県立特別支援学校高等部の分校がある松崎町への事業所設置や、高校卒業後に利用できる就労支援事業所の設置など、「さらなるサービスの充実を目指す」という。
下田市福祉事務所の担当者は「これまで子どもや若い世代に合うサービスがなく、県東部まで出向くなど家庭の負担が大きかった。『わたもこ』を利用したいという声も多い。住み慣れた下田で暮らし続けられるようになれば」と期待を込める。
利用や見学に関する問い合わせは、電話とインスタグラムで受け付けている。