伊豆半島を拠点に活動する環境保全団体「MORE(モア)企画」(伊東市)が12月17日、有償ボランティアのプロダイバーを募り、潜水禁止区域で海中清掃を行う「伊豆半島の海ゴミ一掃プロジェクト」を下田港で実施した。約1トンのごみを海中から回収した。
MORE企画は、伊豆半島の山、川、海の環境を良くしたいという思いから、3人のダイバーで2021年に立ち上げた環境保全団体。海中やビーチ、街なかでのごみ拾いをはじめ、山の不法投棄回収、壁などに描かれた落書き消し、活動を広めるための講演会など、多岐にわたる環境保全活動に取り組んでいる。
「もともと家の周りのごみ拾いに取り組むなどきれい好きな性格」と話すのは、同団体代表の白井ゆみさん。「別の仕事で沼津の潜水禁止区域に潜り、たくさんのごみが沈んでいることに衝撃を受けた。これが海水浴場に流れていったり、漁業に悪影響を与えるかもしれないと思うと、いても立ってもいられなくなった」ときっかけを話す。「知らない方が良かったかもしれないが、知ってしまった以上は自分がやらないといけない」とも。
同プロジェクトは、伊豆半島各地にある潜水禁止区域で海中清掃を行うもので、今回で3回目の開催。ダイビングスポットでは自主的にごみ拾いを行うダイバーも多いが、潜水禁止区域は手つかずの場所が大半だという。同プロジェクトでは、10年間で伊豆の各市町の潜水禁止区域で、3回ずつの海中清掃を行うことを目指している。
今回の海中清掃では、伊豆漁業協同組合が中心となり、潜水許可取得や協力の呼びかけを行った。効率よく作業を進めるため1週間前に下見潜水を行った上で、当日は撮影係を含む10人が下田港に潜水。約20人のボランティアを含む陸上班がごみの引き上げをサポートした。タイヤや自転車などの大型のごみは、フォークリフトを使って引き上げた。回収したごみの総重量は約1トン。白井さんは「下田港はヘドロが多く堆積しており、潜水時には舞い上がったヘドロですぐに視界が悪くなってしまった」と作業の苦労を明かす。
ダイバーたちを労うため、「おそーざいCAFEカマや」(二丁目)と「寿しらぼ三〇二」(三丁目)が協力してダイバーたちの昼食を提供したり、干物店「小木曽商店」(二丁目)や「Cafe&Hamburger Ra-maru」(外ケ岡)が土産を用意したりするなど、地元飲食店を中心に多くの協力があった。「下田東急ホテル」(五丁目)もトートバッグを提供した。
「今回は漁協のネットワークの強さに助けられ、たくさんの協力を得ることができた」と話す白井さん。「ヘドロで視界が遮られて回収しきれなかったごみもまだ残っているはずなので、次の下田での作業も同じ場所に潜るかもしれない」と話す。
次回は3月に伊東市での実施を予定している。