弁当や総菜の宅配を行う就労継続支援B型事業所「とことこ西伊豆」(西伊豆町宇久須)が現在、観光促進と障害者雇用の拡大を目指して、新たに宿泊事業の開始に向けた準備を進めている。
同事業所は、県内で最も高齢化率の高い西伊豆町で2023年11月に営業を開始した福祉施設。さまざまな障害を抱える利用者とともに、健康に配慮した弁当や総菜の販売・宅配事業に取り組む。これまで累計5000食以上を販売し、町内や隣町への配食のみならず、地域の見守り機能や世代を超えた交流機会としての役割を果たしてきた。
身体や知的、精神などさまざまな障害を抱えている人が同事業所を利用している。運営する「あゆみの」社長の町塚俊介さんは「とことこ西伊豆ではこの1年、比較的高い水準の賃金ややりがいを得ながら、同時に働き方の柔軟性を実現させる方法を実践しながら探ってきた」と振り返る。
利用者が増えて手狭になってきたことを受け、同事業所では近隣に新たな物件を購入。その場所を拠点に、さらなる事業展開として宿泊施設事業を始めることを決めた。大人数でも比較的安価に泊まれる料金設定とし、グループ客や家族3世代などが利用しやすい施設にするという。
宿泊事業の展開を通じて、西伊豆町への観光促進とともに、リネンや室内のクリーニングなど、事業所利用者に対して提供できる業務の幅を広げることを目指す。
「これまで西伊豆町に訪れるきっかけが少なかった層の人にも、宿を通してこの町のことを知ってもらい、何度も帰ってきたくなる関係を目指したい」と話す町塚さん。「いずれは、耕作放棄地での農福連携や農業体験を通して、関係人口の創出も目指していきたい」とも。
同事業所では宿泊事業開始のため、クラウドファンディングで協力を呼びかけている。。目標金額150万円に対して、現在、73人から130万円以上を集めている。
クラウドファンディングは1月31日まで。宿泊事業開始は4月を予定する。