スタートアップ支援に取り組むEXPACT(静岡県浜松市)が9月21日・22日、静岡における起業家発掘を目指す「TOMOL」プロジェクトの一環として、熱海~下田で合宿を行い、起業を目指す10~20代の若者13人が参加した。
静岡市出身の高地耕平さんが2018(平成30)年に創業した同社は、静岡発の起業家を生み出すため、スタートアップ企業の資金調達や人事、広報などの支援に取り組んでいる。同プロジェクトは起業家育成を目的に、主にIT分野での起業を目指す若者たちを公募し、今年8月~2025年2月で実施しているもの。合宿や個別伴走支援を通じて、最終的にはプロダクトやサービスを形にすることを目指す。
今回の合宿は、8月の東京合宿と富士合宿に続き3回目。合宿を担当した同社の川端彩加さんは「合宿は原体験と社会課題を結びつけるのが目的。地域の人の思いや課題を知ることはもちろん、普段とは違う環境に身を置くことで、それぞれの考えも深まるのでは」と話す。
初日は熱海でまちづくりに精力的に取り組む市来広一郎さんの講義や、プロジェクト参加者やメンターたちとの交流会を実施。2日目に下田のにぎわい創出施設「WITH A TREE」(下田市西本郷)に移動し、副業すし職人事業を立ち上げた地元すし店4代目の植松隆二さんからの事業説明とすし職人体験、下田市役所の福井さんからの下田市の現状説明、下田でさまざまなまちづくりプロジェクトを手がける梅田直樹さんの体験談などに触れた。その後、下田の街なかでのフィールドワークも行った。
起業を目指して参加した服部陽佑さん(17)からは「地方で事業を展開していくためには、地元の人を巻き込んでいくことが大事だと感じた」、片山謙信さん(17)からは「熱海と下田を視察して、静岡県の魅力を知ることができた。地元の課題を解決するようなサービスを考えたい」、藤井天汰郎さん(18)からは「下田で感じた熱を、事業を通じて地元の西伊豆町に還元したい」などの感想が聞かれた。
「今回の合宿を通じて、自分も下田の人の魅力に触れることができた」と話す川端さん。「下田の街を歩くと、所々おしゃれな店を見かけるが、シャッターが下りたままの建物も少なくない。地元で熱意のある人を後押しして、地域活性化につなげていきたい」と意欲を見せる。