河津町今井浜海岸で6月8日、砂浜の砂を使って地域特産のキンメダイなどの立体模型を作る「砂の造形大会」が開かれた。主催は、地元のNPO法人「あおぞらビレッジ」。
河津町商工会青年部がサンドアートで作ったワサビ(関連画像9枚)
同NPOは、現役小学校教諭の但馬靖彦さんが「自然体験などを通して子どもたちに地域との交流を深めてもらおう」と立ち上げた。2021年4月に任意団体として活動を始め、2022年2月に法人化した。これまで、畑での野菜の苗植えや収穫、地域の生産者などの協力を得てのイチゴ狩りやタケノコ掘り、キャンプや草木染めなど、さまざまなワークショップを開いてきた。
砂の造形は、以前は河津町の子ども会の恒例行事だったが、ここ20年ほどは行われていない。「海のある河津ならではの自然体験であるうえ、保護者や大人にとっては経験のある行事なので、子どもたちと一緒に楽しめると思い、ぜひ復活させたかった」と但馬さんは話す。
当日は天候にも恵まれ、河津町商工会青年部の協力も得て、同NPOスタッフが7時30分に準備を始めた。9時から参加者全員でビーチクリーンを行った後、砂での造形に取りかかった。参加者は地元河津町から商工会青年部を含めた45人に加え、町外からは下田市・東伊豆町・南伊豆町・三島市などから65人、計110人の親子連れが集まった。
「初めて会った子ども同士がコミュニケーションを取りながら協力して一つの作品を作り上げることで、新しいつながりを生み出す機会にしたいと考えた」と但馬さん。「少子化の現在、地域の枠を超えてつながり合うことができる場が必要と思い、今回は特に広範囲に声をかけて募集した」とも。
地域を超えてチームを組み、5チームに分かれて試行錯誤しながらもそれぞれの趣向を凝らした造形作りに取り組んだ。造形後は海藻や漂流物などでデコレーションして仕上げていた。出来上がった造形は、キンメダイ、イルカ、アザラシなど。中には、下田市のゆるキャラ「ぺるりん」を作るチームもいた。完成した後は参加者全員でそれぞれの造形を見て回り、頑張った点、感想などを伝え合った。
参加した子どもたちからは「ほかのチームの作品を見たらすごく上手でびっくりした」「みんなと力を合わせて作って楽しかった」「来年も参加したい」などの感想が聞かれた。大人たちからも「童心に帰って楽しかった」「子どもたちより夢中になってしまった」と、砂での造形を楽しむ様子が聞かれた。
イベントを終え、但馬さんは「今回は参加がなかったが、中高生や一般、近隣市町はもちろん、伊豆に関心のある県外や海外の方も参加できるような企画を考えていきたい」と話す。今後はキャンプやウミホタル観察会、乗馬体験などを計画しているという。