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人が集う新たな複合施設「風まち下田」 大手企業撤退跡を移住者が再生へ

「風まち下田」外観(提供写真)

「風まち下田」外観(提供写真)

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 大手企業が運営していたワーケーション施設跡を、ゲストハウスやコワーキングスペースなどの機能を持つ複合施設「Kazemachi SHIMODA(風まち下田)」(下田市武ガ浜)として復活させるプロジェクトが立ち上がった。

地元イラストレーターの描いた施設イメージ図(関連画像5枚)

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 同所には、地方創生に取り組む東京の企業が2019年、「LivingAnywhere Commons 伊豆下田(LAC伊豆下田)」を開業。全国数カ所を拠点にフリーランスとして働くノマドワーカーなどが集まる拠点としてにぎわい、中には「しもズブ」「ELENTO」など、下田を気に入って同施設を事務所として開業する移住者たちもいた。

 そうした中、運営企業の方針転換により、2023年末、同施設は急きょ閉鎖。2017(平成29)年に下田に移住し、2022年から同施設で拠点マネジャーを務めていた津留崎鎮生さんが新たに法人を立ち上げて建物を借り上げ、新たな複合施設として復活させることを決意した。「下田に吹き始めた新たな風を絶やしてはいけないと感じ、地域内外の人が集う『交流・共創・挑戦 の場』を作りたいと考えた」と津留崎さん。「地域外の企業に任せていては、今回のように突然撤退してしまうこともある。地域の課題解決をする場所は、地域に暮らす人間が当事者にならなければ」とも。

 施設名は、かつて下田が江戸と大阪を結ぶ重要な航路の途中にある「風待ち港」として栄えた歴史に由来する。「風を待つだけでなく『まちに風を起こす』という思いから、『風まち』とした」と津留崎さん。

 同プロジェクトでは4階建ての建物をリフォームし、「誰もが気軽に立ち寄れる」コミュニティースペースを中心に、オフィスとしても利用できるシェアハウス(月50,000円~)、ゲストハウス(1泊6,000円~)、コワーキングスペース(半日1,000円~)、シェアカフェ(1日4,000円~)、イベントスペースなどを備えた複合施設にすることを計画している。外部デッキスペースでは屋台、エントランス前にはキッチンカーの出店も受け付ける。こども図書館やこども食堂も運営し「地域の子どもたちが集まる場所がない」という地域のニーズにも応える。「自習でも読書でも気軽に立ち寄ってほしい。共有スペースには卓球台も置いている」と津留崎さん。

 5月に本格的に工事がスタート。下田の自宅もDIYした津留崎さんの経験も生かし、地元の人やLAC伊豆下田を利用したことのある人の協力も得て、自分たちの手でできるところから徐々に工事を進めている。営業に必要な許可なども取得のうえ、7月から部分的に運用を始める予定だという。 

 6月19日には、開業資金を募るクラウドファンディングも始めた。防災設備や配線・配管工事のための200万円をファーストゴールに設定し、リターンには下田の特産品や同施設を利用できる権利などを用意する。津留崎さんは「自己資金も投じているが、建物が大きいこともあって資金が足りない。金融機関からの借り入れも考えたが、下田で起きていることをたくさんの人に知ってもらいたいとクラウドファンディングを立ち上げた。ぜひこの事業を後押ししてほしい」と呼びかける。

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