河津町観光協会が発行する観光マップがリニューアルされて12月で2カ月が過ぎた。下田出身のイラストレーター土屋尊司さんが手がけたイラストマップが、「温かみがあり、分かりやすい」と人気を集めている。
同協会は新たな観光マップを制作し、10月下旬から河津桜観光交流館や町内の観光施設で配布している。A3サイズの同マップは、文字以外は全てが手描きで、町内の主要な駅や道路に加え、河津桜原木・河津七滝・踊り子温泉会館・河津バガテル公園などの観光名所、地元特産品のカーネーションやミカンなどのイラストが描かれている。
マップを手がけたのは、民宿「勝五郎」(下田市白浜)を営む土屋尊司さん。土屋さんは下田北高校を卒業してから大学で建築を学び、大学卒業後は都内に本社を構える会社で設計とデザインの仕事をしていた。廃業した祖父母の民宿を立て直すため2017(平成29)年に下田に戻ったが、これまで経験を生かしてイラストレーターも副業で取り組んできた。下田市を中心に、絵葉書や県内飲食店メニューのイラスト制作の実績を重ねている。
今回の依頼は、町内の宿泊施設のメニューに使われていた土屋さんのイラストが観光協会職員の目に止まったことがきっかけになった。同協会の島崎博子さんは「手描きで温かみを感じさせるマップにしたかった。土屋さんの独特のセンスの優しい絵が気に入って依頼した」と経緯を話す。
マップの評判については「軽いタッチでとても分かりやすいと好評。マップ目当てに観光協会を訪れる人もいる」とも。
制作における苦労について、土屋さんは「中心市街から河津七滝までをデフォルメし、レイアウトは担当者と何度も相談を重ねて決めた」と明かす。「全体的なバランスにかなりこだわったので、そこに注目してほしい」と力強く話す。