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松崎町で「漆喰鏝絵教室」 現役の左官職人指導で伝統文化体験

左官職人・高橋さんの指導を受ける参加者たち(写真提供=松崎町)

左官職人・高橋さんの指導を受ける参加者たち(写真提供=松崎町)

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 松崎町教育委員会は3月17日、漆喰(しっくい)を使った芸術作品の制作を学ぶ「漆喰鏝絵(こてえ)教室」を松崎町環境改善センター(松崎町宮内)で開催した。教室は1月21日~3月17日の間に全5回開き、参加者は現役左官職人指導の下、思い思いに作品を仕上げた。

鏝(こて)絵の制作風景

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 松崎町は漆喰を使った「なまこ壁」が町なかに多く見られる地域。なまこ壁は、壁面に四角い平瓦を並べて張り、その継ぎ目を漆喰でかまぼこ型に盛り上げるように塗って作り上げる日本古来の壁塗り様式の一つ。セメントや建築用ボードがない時代から、激しい風雨や火災から人々の暮らしを守ってきた。

 同教室で学ぶ「漆喰鏝絵」は、なまこ壁にも使われている漆喰を鏝で盛り上げながら風景や肖像などを描き出す技法で、同町出身の名工・入江長八が芸術の域にまで高めたといわれている。町内には長八の作品が数多く展示されている「伊豆の長八美術館」(松崎)もあり、年間を通じて全国から観覧者が訪れている。漆喰鏝絵は長年にわたり同町で受け継がれてきた伝統文化だが、担い手不足が今後の課題だという。

 「漆喰鏝絵をまだ知らない人にも体験してもらえる機会になれば」と話すのは、なまこ壁を地域資源として保護・保存活動などに取り組む「松崎蔵つくり隊」の山本公さん。同教室は昨年度に続き2回目の開催で、町内外から9人が参加した。参加者は、あらかじめ用意されたデザインサンプルを使って下絵を描き、漆喰で盛り上げる作業を進め、最後には色付けを行い作品を完成させた。

 初めて漆喰鏝絵を体験した今野京さんは「松崎といえばなまこ壁のイメージが強いが、鏝絵のことは今回初めて知った。先生も参加者も気さくで優しい人が多く、楽しみながら体験できた。また機会があれば参加したい」と話していた。

 松崎蔵つくり隊のメンバーで現役左官職人でもある高橋恒彦さんは「作品におのおのの個性が出て面白い。漆喰鏝絵に携わる人を増やして、もっと町を盛り上げていきたい」と話す。「町で開催している全国漆喰鏝絵コンクールにもぜひ応募してほしい」とも。

 同教育委員会の齋藤一憲さんは「今回のアンケート結果を踏まえて、初心者向け・経験者向けなどレベルに合わせた内容にするなど、今後の開催も併せて検討していきたい」と話す。

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