伊豆半島南部を中心に移住交流促進や環境保全に取り組む「伊豆未来塾」が3月10日、環境保全活動「漁師の森づくりプロジェクト」の第4回植樹イベントを、南伊豆町一色の町有林で開いた。
同プロジェクトは、山を整備して海や川の環境を改善し、南伊豆の漁場の漁獲量回復を目指す取り組み。今回のイベントには地元住民や移住予定者、伊豆漁協の組合員など約40人が参加し、約1ヘクタールの中に広葉樹であるクヌギの苗木を2000本を植えた。
植樹開始前には、美しい伊豆創造センターの研究員・佐々木惠子さんが、樹木の種類や見分け方や山に広葉樹を植樹する効果に関する講習会を実施。参加者たちに、山を整備することはきれいな川を守り、豊かな海を作ることにつながることを伝えた。
伊豆未来塾代表の石川憲一さんは「今回の活動を含め、これまでの植樹本数は約8000本、面積は4ヘクタールになった。ちゃんと森にするには、木の成長を見守り整備することが大切。海が豊かになるように広葉樹の森を広げていきたい」と話す。
植樹場所を提供した南伊豆町地域整備課の佐藤禎明課長は「土砂災害の防止、水源の滋養といった多面的な役割を持つ森林を、健全な姿で次の世代に引き継いでいくことが大事。こうした植樹祭を通じて、森林の持つ役割や循環させることの意義を多くの方に感じてほしい。そのような意識醸成に向けた運動が、南伊豆町からさらに大きく広がっていけば」と期待を込める。
埼玉県から参加した移住検討中の50代男性は「農業関係の仕事で移住準備をしているが、こうしたフィールドワークで地元の人たちとつながりを持てるのはありがたい。斜面の作業は大変だったが、土に触れながら自然を守ることの大切さを学ぶ貴重な体験ができた」と話す。「作業後に振る舞われたブダイのみそ汁は格別だった」とも。
2000本の苗木を寄贈した三菱UFJ環境財団の事務局部長・肥田信博さんは「苗木の寄贈は昨年に続き2回目。南伊豆町には、昨年11月に別のNPOが開いた植樹イベントにも苗木を寄贈した。環境保全に熱心に取り組む皆さんの活動を、今後も継続的に支援していきたい」と話す。