西伊豆町は2月5日、新生児にガラス製の記念品を贈る「新生児誕生記念事業」の手形を取る作業を福祉センター(西伊豆町仁科)で行った。2023年7月~12月に生まれた乳児を対象に行い、6組の親子が集まった。
かつてガラス原料のケイ石産出が盛んだった西伊豆町宇久須地区(旧賀茂村)。1988(昭和63)年にガラス文化の里づくり事業を始め、1996(平成8)年にはガラス作家誘致に向けたツアーを企画するなど、ガラス文化の振興に尽力してきた。現在では、町内在住のガラス作家・黄金崎クリスタルパーク(宇久須)・町とで構成する「西伊豆硝子舎」が、町の特産品「かも風鈴」の制作・販売や、ガラス細工を使ったイベントを開催するなど、ガラス文化の情報発信に取り組んでいる。
新生児誕生記念事業は、ガラス作品を使ったまちおこしの一環で、1998(平成10)年生まれの乳児たちを皮切りに旧賀茂村時代から続く恒例行事。町内で生まれた乳児を対象に、手形や足形を施したガラス製の記念品を贈る。記念品は、ガラス製のフォトフレームや小物入れなど、工房ごとに異なるデザインの中から選ぶことができる。ガラス作家らは、母親に抱かれた乳児の手を粘土やスタンプ台に優しく押しながら、手形を採取した。
ガラス作家誘致に取り組み始めた旧賀茂村時代、いち早く移住し、現在も町内に工房を構えるガラス工房「FARO(ファロ)」の五木田淳子さんは「移住を決意した当時、ガラス作品を使ったまちおこしとして『赤ちゃんの手形制作』『吹きガラス体験』を事業計画として村に提出したのが事業の始まり。当初は一人で手形を制作していたが、後に移住してきたガラス作家たちも加わり、25年以上継続している」と振り返る。
生後1カ月の梢ちゃんと訪れた鷹野純也さんは「西伊豆町ならではのガラス製品で思い出を残すことができてとてもうれしい。会場で、同世代の赤ちゃんたちに会えたこともうれしかった」と話す。妻の優香さんは「石こう型に起こした手形を一緒にプレゼントしてもらえるのもうれしいポイントだった」とも。
記念品は3月下旬に完成予定。