食べる

下田「Nitotte coffee」が1周年 移住者がコーヒー移動販売での場づくり

下田市立図書館の館内での「日曜カフェライブラリー」にも出店(撮影=津留崎鎮生)

下田市立図書館の館内での「日曜カフェライブラリー」にも出店(撮影=津留崎鎮生)

  • 0

  •  

 下田を中心に屋台やリヤカーでコーヒー販売を行う「Nitotte(にとって) coffee」が9月5日で1周年を迎えた。

移動販売に使ってきたキッチンリヤカー、休眠中のリヤカーに注目した(関連画像5枚)

[広告]

 店主は埼玉県出身の松橋樹(たつき)さん。大学卒業直前だった2020年冬に初めて訪れた下田を気に入り、スタートアップ企業からの内定を辞退して、下田を拠点とするカメラマン兼ライターとして独立。2022年4月から今年5月末までは、自身もユーザーの一人だった「LivingAnywhere Commons(LAC) 伊豆下田」(下田市武ガ浜)のコミュニティーマネジャーとして、全国の多拠点居住者たちを下田に迎え入れた。「下田や伊豆のどんなところが好きなのかうまく言葉にすることができないが、この土地には不思議と安心感を覚える」と松橋さんは話す。

 店名の「Nitotte」は「◯◯にとって」に由来する。店名に込めた思いについて、松橋さんは「『あなたにとって』すてきな時間や空間を作りたい。移動販売という業態を取ることで、『さまざまな場にとって』コーヒーやコミュニケーションのきっかけなど、付加価値を提供していけたら」と話す。

 カメラマンの仕事でコーヒーミルのプロモーションに関わったのをきっかけにコーヒーにのめり込み、LACの利用者たちにコーヒーを振る舞うようになった松橋さん。いつかカフェを開きたいとぼんやりと考えるようになり、LAC伊豆下田コミュニティーマネジャー就任後も、施設内でのコミュニケーション活性化のため、ウエルカムコーヒーの提供などに取り組んだ。

 転機となったのは2022年6月。下田の一大イベント「あじさい祭」で使われているキッチンリヤカーが祭期間中以外は倉庫に眠っていることを知り、市や観光協会の関係者と協議を重ねる中で、利用期間外のリヤカーをLAC伊豆下田のウッドデッキに設置しての「Nitotte coffee」開業が決まった。「自分でも驚くほどトントン拍子に話が進んだので、大急ぎで準備を整えて9月に営業を始めた」と松橋さん。

 LAC伊豆下田利用者や近隣の人たちへコーヒーを販売するほか、移動できる利点を生かして伊豆急下田駅前の物産店「時計台フロント」の軒先や「まどが浜海遊公園」でのイベントにも出店した。さらに下田市立図書館の館内でコーヒーを提供する「日曜カフェライブラリー」や、あじさい祭での「なまこ壁の家・雑忠」や「あじさい部屋」、コミュニティースペース「羽衣」などへの出店を重ね、今夏は伊豆急・今井浜海岸駅にコーヒースタンドを出店した。

 今後の展望について、松橋さんは「キッチンリヤカーもそうだったが、使われていない場所や空間の活用に積極的に取り組んでいきたい。下田市をはじめ賀茂地域内であればどこでも出張するので、コーヒーを活用した場づくりに興味のある人は気軽に声をかけてほしい」と呼びかける。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース