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東伊豆で「2拠点生活を考える」講演会 地元住民と移住者のかけ算目指す

東伊豆で「2拠点生活を考える」講演会&トークショー

東伊豆で「2拠点生活を考える」講演会&トークショー

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 移住者や多拠点生活者が増えている東伊豆町が7月8日、地元住民と移住者の交流のきっかけづくりを目的とした講演会とトークセッションを旧稲取幼稚園講堂(東伊豆町稲取)で開いた。

講演会で登壇した大杉潤さん(左)と岩井茂樹町長(右)

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 東伊豆町では、2014(平成26)年から行われている芝浦工業大学の「空き家改修プロジェクト」への物件提供や、イベント等の手伝いで訪れた町外在住者への交通費補助など、関係人口の創出に力を入れている。2021年には30年ぶりに転入が転出を上回る社会増を記録し、現在では町民の約5%を移住者や2拠点生活者が占める。

 冒頭のあいさつに立った岩井茂樹町長は「東伊豆町には驚くような経歴や経験を持つ2拠点生活や移住者がたくさんいる。地元住民と移住者が一緒になって新しい東伊豆を作るきっかけになれば」と会の目的を説明した。

 第1部は、「定年ひとり起業」などの著書が知られるビジネス書の作家で、さいたま市の自宅と東伊豆町の事務所での2拠点生活を送る大杉潤さんが登壇。

 執筆作業はもっぱら東伊豆の事務所で行っているという大杉さんは「東伊豆町は豊かな自然と温泉資源があり、クリエーティブに最適な環境」と解説し、川端康成・遠藤周作・志賀直哉など伊豆の温泉宿にこもって素晴らしい作品を書き上げた作家を例に挙げながら「東伊豆町に事務所を構えてから執筆の速度とクオリティー段違いに上がった」と自身の経験を話した。さらに大杉さんが提唱する、社会に対して一生涯貢献し続ける「トリプルキャリア」の生き方についても触れた。

 第2部は大杉さんに加え、東伊豆町出身で現在は東京と東伊豆町の2拠点生活を送るキャリアコンサルタントの市川美和さんと、2011(平成23)年に東伊豆町にUターンして会社経営や子育てに奮闘する鈴木香織さんも登壇しトークショーを行った。

 東伊豆町まちづくりアドバイザーの森田創さんがファシリテーターを務め、「東伊豆町の最近の変化」「東伊豆町が解決すべき課題は何か」「地元住民と移住者の関わりをどのように深めるか」などのテーマを投げかけながら進行した。「少人数で学び合うコミュニティーが交流促進に有効なのでは」(大杉さん)、「男性が地域社会に溶け込む後押しが必要」(市川さん)、「町のイベント実行委員会が地元民と移住者の交流を促進するコミュニティーとなりうる」(鈴木さん)など、登壇者それぞれの活動や専門分野を踏まえながら議論が行われた。

 下田からイベントに参加した女性は「多拠点生活がごく身近になったことを改めて感じた。緩く長く一生幸せに働き続ける暮らしのスタイルに、伊豆が最適な拠点だと分かり、地元民としてもうれしい」と話していた。

 千葉と伊豆の2拠点生活を送っている男性からは「移住者は移住者同士で固まりがちなので、このように地元の人たちと交流できる機会があると、より伊豆に対しての愛着が深まる」という感想が聞かれた。

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