「土鍋プリン」が看板商品の洋菓子店「Cakes KANON(ケークスカノン)」(下田市西中)が3月31日で10周年を迎えた。
店主の加藤泰志さんは稲梓地区の和菓子店に生まれた。実家の和菓子店では注文に対応して配達するという営業スタイルだったが、「地元の人々とコミュニケーションを図りながら、お客さまの喜ぶ顔を見られるスタイルにしたい」と、ショーケース販売も含めた洋菓子店の開業を決意した。
和菓子と洋菓子両方のキャリアを持つ加藤さんは、独創的なアイデアでさまざまな名物を生み出している。
2016(平成28)年には、下田のご当地キャラ「ぺるりん」をモチーフにしたドーナツ「ぺるりんのうきわ」(170円)を開発。加藤さんが下田商工会議所に所属し、ぺるりんが会議所を母体として活動していたことがきっかけとなった。フレーバーは、下田の甘夏、地元の塩を使った塩キャラメル、下田が発祥とされる牛乳などをそろえる。地域色があり日持ちするため、土産物として買い求める観光客も多いという。
2018(平成30)年には、下田駅前の土産物店兼レストラン「下田時計台フロント」(東本郷)の店主で同級生の長池茂さんと「下田ミルクもち」(185円)を共同開発。下田が牛乳発祥の地であることをアピールしたいと、実家の「バターもち」をベースにした同商品は現在、月1万個以上を売り上げるヒット商品になっている。
さらにその後も、やはり同級生である「割烹民宿 小はじ」の小川浩史さんも加え、地元のヒジキを練り込んだ「煮ひじきサブレ」や、キンカンの甘露煮をトッピングした「金柑(きんかん)フィナンシェ」などの商品を次々に生み出してきた。
店舗の増改築や内装も同級生の建築家や板金店がサポートし、建物自体も地産地消のたまものとなっている。
同店の看板商品「土鍋プリン」(1,950円)は、ブリュレ用のカップが足りなくなった時、当時はやっていたバケツプリンからヒントを得て開発。耐熱性の土鍋を容器として大きなプリンを作ってみたところ評判となり、バースデーケーキの代わりに買って行く地元客も多いという。使用後の土鍋は回収しており、持参客には焼き菓子1個を進呈している。
そのほか、「苺(いちご)のショートケーキ」「ショコラシャンティ」(以上350円)などの定番商品や季節のケーキなど、色とりどりのケーキ10種類以上がショーケースに並ぶ。
現在、スタッフは5人。当面の目標は「生産量が追いつくように頑張り続けること」と加藤さんは話す。
営業時間は9時~19時。水曜と月1回木曜定休。