
海との縁に導かれて下田へ移住した店主が下田プリンスホテル内で営む「寿司(すし)処 楽海(らう)」(下田市白浜)が8月8日で10周年を迎えた。
楽海の「楽」の字には店主・佐藤さんの誕生日3月6日にちなんだ3と6の数字が隠されている(関連画像12枚)
店主の佐藤信二さんは東京都立川市出身。10代の頃から群馬県、北海道、小笠原諸島の父島などさまざまな地方で一次産業に携わった。沖縄県石垣島での生活を経て、第1子となる長男の誕生をきっかけにパートナーの故郷である富山県富山市に移住。水産業の本場で鮮魚店に勤め、魚のおろし方や解凍処理など基礎技術を体得したという。
長男が2歳の頃、暖かい土地を求めて伊豆で物件を探し始めた。下田の海の雰囲気に魅力を感じ、約1週間で引っ越しを完了。市内のすし店で10年以上働いた後、自分の店を持ちたいという思いから、前職の退職金を開店資金に充て、商業施設「NanZ VILLAGE(ナンズビレッジ)」(一丁目)内に「楽海」をオープンした。店名は「下田の海を楽しんでほしい」という思いに由来する。
開店から1年半後、下田プリンスホテルからテナントへの引き合いがあり、窓から見える海の景色に心を動かされて出店を決意。2店舗並行営業を経て、半年後にホテル内の店舗へ完全移行した。席数はカウンター9席。「ホテル内は優良顧客が多く、交わす会話一つ一つがためになる」と佐藤さんは話す。
メニューは、ウニ、トロ、イクラなどの定番に加え、アジやイナダ、キンメダイなど伊豆の地物をアレンジ。青唐辛子しょうゆに漬けた島ずし風の「白浜寿司」(3貫、1,250円~)や「炙(あぶ)りトロ金目」(1貫、700円)などのオリジナルメニューが人気。つまみ類では「金目鯛(きんめだい)のカブトホイル焼き」(1,680円)が「一押し」だという。「宿泊客だけでなく、広く地域の人たちにも利用してほしい」と佐藤さんは呼びかける。
営業時間は17時30分~22時。水曜・木曜定休。完全予約制。