稲生沢こども園(下田市立野)で1月23日、パイプオルガンとリコーダーの演奏会が開かれ、園児と保護者たちが荘厳なバロック音楽を楽しんだ。
同イベントは、演奏者不在などの理由で長年使われていなかった同園のパイプオルガンを、再び子どもたちに聴かせたいという思いから企画されたもの。
同園にパイプオルガンが設置されたのは1988(昭和63)年のこと。ドイツ人技師や地元業者の協力により1300本のパイプを用いたオルガンが設置された。定期的にコンサートを開いていた時期もあったが、オルガン奏者の不在が続き休止していた。昨年、職員の知人から紹介を受けたオルガン奏者の能登伊津子さんが出演を快諾し、今回のコンサートが実現した。
今回のコンサートではオルガンとリコーダーが共演。オルガンを担当した能登さんは、白川イタリア・オルガン音楽アカデミーで最優秀賞「ピストイア賞」を受賞した実績を持つ。リコーダーを担当した古橋潤一さんは、17世紀イタリア・スペインの音楽を主に演奏するアンサンブル「メディオ・レジストロ」を主宰し、舞台音楽監督としても活躍している。古橋さんが使ったルネサンス時代のリコーダーは現在のものとは異なり、大きな響きを特徴とし、パイプオルガンの音量にも負けない迫力がある。
演奏会では、バッハ作曲の「パストラーレ」やリコーダーソロの「グリーンスリーブス」、さらに「トッカータとフーガ」など計6曲を披露。選曲については、村山保園長の意向で、子ども向けの曲ではなくクラシック音楽が選ばれた。
村山園長は「パイプオルガンの魅力は、広い音域で音が重なり合うところ。リコーダーとのさまざまな音の組み合わせを子どもたちに楽しんでもらいたい」とあいさつ。同園に子どもを通わせる保護者の一人は「生でパイプオルガンの演奏を聴ける機会はめったにないので楽しみにしていた。子どもと一緒に聴けてうれしい」と喜びを語った。