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伝統的建造物で営業する下田のソウルバー「土佐屋」刷新へ CFで協力呼びかけ

ソウルバー「土佐屋」店主の齋藤能仁(よしひと)さん

ソウルバー「土佐屋」店主の齋藤能仁(よしひと)さん

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 築170年のなまこ壁の伝統建築物で営業する、伊豆唯一のソウルバー「土佐屋」(下田市三丁目)が現在、建物の老朽化対策とリニューアルを計画している。

「土佐屋」が営業する築170年のなまこ壁の建物

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 同店が入る建物は1854年に建てられたもの。江戸時代には土佐からの客を迎える船宿として使われており、吉田松陰が黒船乗船を嘆願するため下田を訪れた際に兄宛の手紙を託した場所としても知られる。外壁の格子模様「なまこ壁」が特徴で、下田市登録まち遺産第5号にも認定されている。

 店主の齋藤能仁(よしひと)さんがこの場所にソウルバーを開いたのは18年前。東京都文京区で育った齋藤さんは、東京で店を開いて以降、約40年間にわたりレコードバー一筋で営業を続けてきた。

 下田随一の観光名所「ペリーロード」の中心に位置する物件にほれ込み、同物件を借りてソウルバーを開いた齋藤さん。同店は国内外から多くのファンが訪れる人気店に成長し、その間も建物の補修や手入れを行いながら営業を続けてきた。

 齋藤さんは12月31日、リニューアルに向けクラウドファンディング(CF)を始めた。決意したのは、コロナ禍で大幅に売り上げが減少したことがきっかけ。緊急事態宣言中の営業制限で収益が減る中、自己資金や借り入れで建物を修繕してきた。しかし、コロナ禍が明けた後も客足が完全には戻らず、運転資金の確保に追われる日々が続いていた。その間に老朽化が進行し、漆喰(しっくい)の剥落や雨漏りなどの問題が発生しているという。

 CFの目標金額は500万円。単に建物を修繕するだけでなく、「昼間の観光客を呼び込むアンテナショップの開設」「下田で楽しめるライブスペースの開設」など、「より魅力的な空間づくりも視野に入れている」という。

 CFでは開始10日間で約200万円を集めた。市内事業者や全国の常連客から応援メッセージが寄せられ、支援者は約120人に上っている。

 「CFを通じて、土佐屋が多くの人に愛されていることを改めて実感した。この場所をなくしてはならないという気持ちがさらに強くなった」と齋藤さん。「必ず目標を達成し、より良い土佐屋を実現したい」と力を込める。

 CFは2月9日まで。

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