伊豆半島を拠点に活動する環境保全団体「MORE(モア)企画」(伊東市)が11月11日、有償ボランティアのプロダイバーを募り、潜水禁止区域で海中清掃を行う「伊豆半島の海ゴミ一掃プロジェクト」を雲見海岸(松崎町雲見)で実施した。約500キロのごみを海中から回収した。
MORE企画は、伊豆半島の山、川、海の環境を良くしたいという思いから、3人のダイバーで2021年に立ち上げた環境保全団体。海中やビーチ、街なかでのごみ拾いをはじめ、山の不法投棄回収、壁などに描かれた落書き消し、活動を広めるための講演会など、多岐にわたる環境保全活動に取り組んでいる。
同プロジェクトは、伊豆半島各地にある潜水禁止区域で海中清掃を行うもので、2024年6月に沼津市のマリーナで実施したのを皮切りに、今回で2回目の開催。ダイビングポイントとして潜水を許可されている区域は自主的にごみ拾いを行うダイバーも多く、比較的水中環境も保たれているが、潜水禁止区域での海中清掃には各所への許可取りや調整が必要なため、ごみが放置されている漁港も多いという。同プロジェクトでは、放置された釣り道具や漁具などが目立つ潜水禁止区域を中心に、ごみ拾いを行う。
「有志が集まり自主的に行うボランティア活動は、いずれ依頼をする側もされる側も継続することが困難になっていく。地元のプロダイバーに継続的に活動してもらうためにも、まずは私たちが助成金申請のサポートを行ったり、地域や企業などに協賛を呼びかけたりしながら『有償ボランティア』としてプロダイバーに謝礼金を支払う取り組みのモデルケースを構築しているところ」と同団体代表の白井ゆみさんはプロジェクトの意図を明かす。
同団体の呼びかけに賛同し、地元ダイバーへの声がけも行った「雲見ダイビングサービスはまゆ」代表の鈴木辰徳さんは「これまでも定期的に有志たちによるごみ拾いを行ってきたが、有償ボランティアとしての活動は今回が初めて。どうにか有償で行うことができないかと考えていたところ、既に取り組みを始めている団体の存在を知った」と共同開催に至った経緯を話す。「今回で実績もできたので、今後も継続していけたら」とも。
白井さんは「プロダイバーや漁協、行政や地域住民らと10年計画を立て、まずは基盤作りから始める。実績を重ねる中で、いずれは各自治体が主体となって海中清掃を運営していってもらえれば」と話す。
次回は12月に下田港(下田市)での実施を予定している。