東伊豆町北川(ほっかわ)の「鹿島神社秋祭」が10月26日・27日、鹿島神社(東伊豆町北川)を中心とする東伊豆町北川地区で開かれ、海上安全を祈願する町の指定無形民俗文化財「鹿島踊り」が5年ぶりに奉納された。
鹿島踊りは、同神社の本社である鹿島神宮が所在する茨城県から千葉県・神奈川県・静岡県を中心に分布する民俗芸能。伊豆北川ではおよそ450年前から伝えられてるといわれている。1954(昭和29)年に一度途絶えたが、その後に保存会が結成され1974(昭和49)年に復活。しかしコロナ禍の影響で2020年からは中止が続いていた。
踊り手の定数は25人だが、今年の踊り手は20人。鹿島踊り保存会の鳥澤孝雄さんは「地元を離れる人も多く、メンバーの高齢化や新たな人が増えにくいことが課題」と話す。保存会のメンバーは現在25人。踊り手の受け入れ範囲を広げるなどし、伝統を継ぐ有志を求めている。
初日は15時ごろから旅館組合の屋台が神社の境内に並び、イカ焼きや綿菓子、焼き鳥などを販売した。鹿島踊りは19時30分ごろ、境内の長屋(ちょうや)で始まり、白装束を身にまとった踊り手たちが歌の一番から七番までを2度繰り返して歌い踊る「一(ひと)踊り」が奉納された。
境内は立ち見客が出るほどにぎわい、およそ40分間の鹿島踊りが無事に奉納されると、大きな拍手が送られた。観客からは「5年ぶりの開催で、以前よりも来場者が増えたように思う」「踊りを継続していく難しさを感じた」などの声が聞かれた。
2日目は8時ごろから、境内の長屋と北川ねこさい広場で鹿島踊りが奉納された。その後は山車と子どもみこしが地域内を練り歩き、北川区駐車場でのパン食い競争、北川港(以上、北川)での餅まき、境内でのビンゴ大会や町内有志による屋台と、夜までイベントが続いた。
鹿島踊りの太鼓役を務めた同保存会副会長の鳥澤善久さんは「人口は少なくても地域の結束力は本当に素晴らしい。北川は誇れる地区」と語る。保存会の土屋和也会長は「伝統芸能を継続していきたい。若い人たちにもぜひ来てもらえれば」と呼びかける。