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下田の偉人・下岡蓮杖を学ぶ講演会 講師に古写真研究家の森重和雄さん

下田市民文化会館で開かれた講演会「下岡蓮杖翁と下田」の様子

下田市民文化会館で開かれた講演会「下岡蓮杖翁と下田」の様子

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 下田開港170周年の節目に郷土の偉人について学ぼうと、下田出身で商業写真の開祖と呼ばれる下岡蓮杖(れんじょう)についての講演会「下岡蓮杖翁と下田」が7月28日、下田市民文化会館(下田市四丁目)で開かれた。

講師を務めたの古写真研究家で作家の森重和雄さん(関連画像3枚)

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 1823年に下田で生まれた下岡蓮杖は絵師を目指し上京するが、一枚の銀板写真に魅了され写真師になることを決意。下田に来航した米国総領事タウンゼント・ハリスの通訳官ヒュースケンや、横浜に在住していた米国の写真家ウィルソンから写真術を学び、苦労の末、1862年に横浜に写真館を開業した。長崎の上野彦馬とともに、日本の職業写真家の先駆者といわれている。

 講演会の講師を務めたのは、古写真研究家で作家の森重和雄さん。下岡蓮杖研究の第一人者ともいわれる森重さんは「上野彦馬は蘭学を学んでいたため、化学的実験の一つとして写真術を学んだ人だった。それに対して下岡蓮杖は、絵師としての視点から商業として売り物としての写真を扱った初めての日本人だった」と話す。「下岡蓮杖は写真だけでなく、横浜と新橋の間を走る乗合馬車を始めたり、牛乳販売を手がけたりと、さまざまな事業を興した」とも。

 下岡蓮杖は、横山松三郎や臼井秀三郎など、日本写真史に名を残す優秀な弟子たちを多く輩出したことでも知られている。「お金のない弟子たちに高価なカメラを譲ったり、独立資金を工面したりと、よく面倒を見た」と森重さん。下岡蓮杖が92歳で没した後には、世話になったという弔問客が全国各地から訪れたという。

 弟子の一人である船田万太夫は、下田で「阿波屋」という旅館兼写真館を開いていた。下田の町なかにあったその写真館跡地は現在、駐車場になっている。「下田には、まだまだ下岡蓮杖に関する資料が眠っているはず。若い人たちに、この研究を受け継いで、後世に残してもらいたい」と森重さんは期待を込める。

 市内から話を聞きに来たという女性は「下岡蓮杖がこんなに多才な人だったと初めて知った。下田の人間として誇りに思う」と話していた。

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