農林水産省が主催する「INACOME(イナカム)ビジネスコンテスト2025」の最終審査会が12月19日に行われ、まき火レストラン「QUEBICO(クエビコ)」(松崎町江奈)がスタートアップ部門で優秀賞を受賞した。
「クエビコ」は、まきで店内のエネルギー循環にも取り組んでいる(関連画像8枚)
同コンテストは、農山漁村の地域資源を活用した起業や新事業を支援する「農山漁村発イノベーション」の一環。同店を経営する「ベーストレス」の松本潤一郎社長が「QUEBICO 森とエネルギーを循環させるまき火レストラン」の演題で登壇した。同部門は既に事業化されている取り組みを対象としており、さらなる成長が見込まれるプランとして高く評価された。
全国から200組以上の応募があった今回のコンテスト。本選大会には厳しい審査を勝ち抜いたファイナリストが集結し、1組7分のプレゼンテーションを行った。松本さんは最終プレゼンターとして「大トリ」を務め、地域資源を活用したビジネスモデルの可能性を熱弁。激戦を勝ち抜き、優秀賞の座を射止めた。
「日本の国土の3分の2は森林。これほど木が育つ国はほかにない」と話す松本さん。同店では、その土地の木をエネルギーに変え、まき火で調理するスタイルを実践している。「木の種類によって香りや仕上がりが変わる。土地の山の個性がそのまま料理に反映されるまき火の調理法は、森が豊かな日本に最適な飲食店の形だと信じている」と力を込める。
受賞を受け、既に全国の自治体や企業から複数の問い合わせや視察のオファーが舞い込んでいるという。松本さんは「エネルギーを域内供給するこのレストランの形を、これから全国に広げていきたい」と展望を明かす。次の目標として、環境に配慮した持続可能な取り組みを行うレストランに贈られる「ミシュラン・グリーンスター」の獲得を挙げる。
松本さんは「評価いただけたのは、毎日向き合っている『まき火』と『森の循環』、そして何よりお客さまの『おいしい』という声が確かな実績として届いたからだと思う」と笑顔を見せる。