漁港の釣り場予約サービス「海釣りGO」を運営する「ウミゴー」(西伊豆町宇久須)が12月18日、伊豆漁業協同組合・下田支所(下田市外ケ岡)と合同で、新機能「UMIGO 救助信号」の公開実験を行ったと発表した。落水などの緊急事態を周囲に知らせ、迅速な救助につなげる「共助」の仕組みの検証に成功したという。
救助信号に気付いた他の釣り客の救助活動を想定した訓練の様子(関連画像2枚)
「海釣りGO」は、2023年7月に西伊豆町・田子漁港で始まった日本初の漁港釣り場予約サービス。アプリ上で予約と決済を完結させ、その収益を漁港の維持管理に充てる仕組み。これまで、西伊豆町内の仁科漁港(2024年8月)、安良里漁港(2025年10月)などにも展開している。
「UMIGO 救助信号」は、釣り人が落水などの緊急事態に陥った際、スマートフォンアプリのボタン一つで周囲に救助を求められる機能。信号を発信すると、運営管理者だけでなく、そのエリア内にいる他のアプリ利用者全員に一斉に通知が届く仕組み。受信者の画面には発信者の位置情報がリアルタイムで表示され、マップを頼りに即座に現場へ駆けつけることが可能になる。特許も出願済みだという。
開発の背景には、釣り場開放における安全対策コストの課題がある。堤防の安全を確保するために柵の設置や監視員の常駐を行うと多大なコストがかかり、結果として釣り禁止を選択せざるを得ない漁港が多い。同社の國村大喜社長は「スマートフォンを活用し、その場にいる人同士が助け合う『共助』のシステムを構築することで、コストを抑えながら安全性を高め、より多くの釣り場を開放できる環境を整えたい」と話す。
今月3日に行った実験当日は、下田港の堤防で実際に救助信号を発信し、通知の正確性や位置情報の精度、管理者への情報伝達などのプロセスを確認した。管理者側には発信者のプロフィールのほか、事前登録された緊急連絡先も共有されるため、スムーズな初動対応が可能になるという。
実験終了後、伊豆漁業協同組合の中川裕介参事は「位置情報を共有できるこの仕組みは非常に有効。管理事務所で救助信号を受信し、近くの遊漁船にすぐ連絡を取って救助に向かってもらうといった連携も取りやすい」と話し、同組合の津曲真生さんからは「発信までが2~3ステップと非常にシンプルで、とても使いやすい」という感想が聞かれた。
同機能は今後、海業アプリ「UMIGO」のオプション機能として提供を予定している。國村社長は「万が一の『声』を多くの人に届けることで、安心・安全な釣り文化の発展と地域振興に寄与していければ」と意欲を見せる。