伊豆半島を拠点に活動する環境保全団体「MORE(モア)企画」(伊東市)が12月2日、有償ボランティアのプロダイバーを募り、潜水禁止区域で海中清掃を行う「伊豆半島の海ゴミ一掃プロジェクト」を下田港で実施した。
MORE企画は、「伊豆半島の山、川、海の環境を良くしたい」という思いから、3人のダイバーが2021年に立ち上げた環境保全団体。海中やビーチ、街なかでのごみ拾いをはじめ、山の不法投棄回収、壁などに描かれた落書き消し、活動を広めるための講演会など、多岐にわたる環境保全活動に取り組んでいる。7月にはNPO法人化を果たし、より一層の活動基盤強化に努めている。
同プロジェクトは、伊豆半島各地にある潜水禁止区域で海中清掃を行うもので、下田港での実施は昨年12月に続き2回目。代表理事の白井ゆみさんは前回、「ヘドロで視界が遮られて回収しきれなかったごみもまだ残っているはず」と話していた。
「同じ場所での2度目の清掃は今回が初だが、さまざまな場所を巡りながら、同じ場所を何度も清掃することは元々計画していた」と白井さん。「前回の経験を生かし、手続きや計画は順調に進めることができた」と話す。
当日は下田市役所・下田土木事務所・下田地区消防組合・下田海中水族館などからの応援も含め、十数人のダイバーや陸上ボランティアなど合わせて約60人が参加。タイヤや自転車など大きなごみを含む計1020キロを海中から回収した。
ダイバーたちを労うため、地元の「おそーざいCAFEカマや」「寿しらぼ三〇二」が食事を提供し、下田市観光協会がコーヒーを差し入れたほか、干物店「小木曽商店」「下田東急ホテル」「金栄堂」などが土産を提供した。松木正一郎下田市長も2回、現場を訪れ、参加者たちへの感謝を伝えた。
今回の作業について、白井さんは「前回に引き続きヘドロで視界が悪かった。水中で全く視界が利かない中でも安全に作業できるのは、プロダイバーの技術があってこそ。有償ボランティアという形でプロに作業をしてもらう意義を、より強く感じる現場だった」と振り返る。
次回は2026年1月31日、河津町・谷津港での海中清掃を予定している。白井さんは「土曜日なので学生の参加を積極的に募り、子ども向けワークショップを開ければ」と意欲を見せる。