
昭和女子大学(東京都世田谷区)の学生たちが地域や企業の課題に挑戦する「未来デザインプロジェクト」が9月13日、下田市内でフィールドワークを行った。
風まち下田で行われた昭和女子大学のプロジェクト型学修(関連画像10枚)
学部・学科を問わず公募でプロジェクトに集まった10人の学生や学校関係者たちが参加した同フィールドワーク。同大OGで女性のためのキャンピングカーデザイン事務所「MeiMei」(渋谷区)社長の宮本芽依さんと静岡銀行下田支店長・大箸武史さんとのつながりがきっかけで、9月~来年2月に行われる同プロジェクトの実践の場として下田市が選ばれた。参加する学生たちは、同市で活動する地域おこし協力隊や地域の事業者たちと連携しながら、空き家・空き店舗の利活用を通じた地域課題解決に挑戦する。
最初に参加者たちは「風まち下田」(下田市武ケ浜)で事前学習の講義を受講した。ナビゲーターの一人である同大現代ビジネス研究所の研究員・長昌(ながよし)規恭さんは「小さな視点から大きく全体の問題を感じてほしい。町が抱える課題を自分事として捉えることが必要」と学生たちにアドバイスした。
講義の後、学生たちは3グループに分かれ、下田市旧町内エリアでまち歩きを行った。計6軒の空き物件を改修した店や事業所の運営者たちを訪ね、それぞれの成り立ちや資金繰り、苦労した点や地域に及ぼした影響についてヒアリングした。
7月に宿泊事業を始めた、下田まち遺産第1号「雑忠(さいちゅう)」(一丁目)では、運営を担う「いとへん」の佐々木幸壽さんが建物を案内した。佐々木さんは「雑忠は下田のシンボル的な建物。再び人の出入りが始まり、古い建物が息を吹き返して喜んでいるように感じる」と、新しい事業が歴史的建造物にもたらす好影響について、実体験に基づいた話をした。
空き家をリノベーションしたコミュニティースペース兼ゲストハウス「羽衣(はごろも)」(二丁目)へのヒアリングでは、店主の佐藤潤さんが、シーズンオフには女性向けのワークショップや地域らしいイベントを開いていること、下田市は女性の起業家が多く活躍していることなどを説明した。
フィールドワークに参加した人間社会学部1年の猪股真帆さんは「私は静岡県富士市出身。アートワークを使った地域活性化に興味があり参加した。下田市は思ったより活性化されていると感じた」と感想を話した。同じく1年の渡辺翠(すい)さんは「私は茨城県生まれ。フィールドワークで学んだことを、いずれは故郷に持ち帰って活性化の一助にできれば」と意気込みを見せた。
ヒアリングを終えた後は再び「風まち下田」に戻り、グループごとにヒアリングした内容をまとめ、全員による発表会を行って情報を交換し合った。締めくくりに、大箸さんは「地域が抱える課題に、まずは気付くことが重要。若い人々の力を借りながらも、本人たちの学びのきっかけになり、同時に地元にとってもマインドチェンジの機会になれば」と内外へ期待を寄せる。
同プロジェクトの下田での次回の研修は11月28日に行う。今回のフィールドワークから得た内容から課題を抽出し、それを解決するための企画の立案とプレゼンテーションを予定する。