
かつて地区ごとに行われていたにぎやかな祭りを復活させようと、30~40代のUターン者や移住者らが企画した「大澤夏祭り&盆踊り」が8月30日、道の駅「花の三聖苑伊豆松崎」(松崎町大澤)で初めて開かれ、約200人の地元住民たちでにぎわった。
実行委員長を務めたのは、地元・大澤出身で、6年前にUターンし、現在は松崎町観光協会に勤めている依田貴文さん。「自分が小学生くらいの時には、近所の各地区で祭りがあった。盆踊りや屋台、トイレットペーパーを誰が早く巻けるかを競争するゲームなどの思い出があるが、中学生の頃にはなくなってしまった」と振り返る依田さん。最近は30~40代の移住者が増えていることや、子どもたちから「地域の祭りがないのが寂しい」という声を受けて、子どもたちが楽しめて地域の人たちの交流にもなる祭りを開くことを決めた。
イベントの準備は、30~40代を中心とした21人から成る実行委員会で進めた。DJやミュージシャン、IT関係の仕事をしている人やDIYが得意な人など、多彩なスキルを持つ人が集まり、「手作りながらもクオリティーの高いイベントが開催できた」という。
観光客よりも地元の子どもに来てほしいと、告知は回覧板とチラシ配布を中心としSNSなどでの告知もあえて控えめにしたものの、松崎町や西伊豆町の人を中心に200人ほどが参加した。
当日は17時スタートで、フランクフルト、焼きそば、かき氷などの飲食販売を行ったほか、ヨーヨーすくいなどゲームを楽しめる屋台が出店した。「子どもが楽しめるイベントにしたい」という思いから、それぞれの屋台は小遣いで楽しめる100~200円の価格設定にした。
来場者同士の交流を促すため、ブルーシートの上に机を並べた宴会スペースも用意。途中、席が足りずに増設するほど盛況だった。さらに、櫓(やぐら)を囲んで太鼓演奏に合わせて盆踊りも行い、50人ほどが一緒に踊る姿も見られた。合間には子どもたちを対象に、景品を懸けたじゃんけん大会や菓子まきも行った。
来場者からは「移住してきて間もないが、子どもたちのためにこんなイベントがあって喜ばしい」「昔あった地区の祭りが、このような形で復活してくれてうれしい」などの声が聞かれた。
イベントを終え、「とにかく最高だった。子どもたちも、地元の人たちも楽しそうにしてくれていて、思い描いていた理想の祭りができた」と手応えを語る依田さん。「来年の開催も仲間たちと決めた。この祭りで子どもたちが喜んだり、地域の交流につながっていったりすれば」と意欲を見せる。