
体感型動物園「iZoo(イズー)」(河津町浜)で6月23日、国内最大のイリエワニが産卵した。28日には土の中から卵が掘り出され、同園の孵卵(ふらん)室に移された。
同園は日本最大級のは虫類・両生類専門の動物園。希少種や大型個体の飼育にも力を入れており、動物との距離の近さや自然に近い環境での飼育が特徴。
イリエワニは現生するワニの中で最大種とされ、野生では体長6メートルを超える個体も確認されている。寿命は約80年で、20歳を過ぎると繁殖可能になるという。同園では2021年から、国内最大とされるイリエワニのつがいを飼育。搬入された当時の雄の体長は5.1メートルあった。
同園では2023年に初めて産卵が確認され、昨年も続けて卵を産んだが、いずれも無精卵でふ化には至らなかった。今年で3年連続の産卵となる。産卵期は通常5月下旬だが、今年は気温の影響か、やや遅れての産卵だったという。白輪剛史園長は「最近暑かったので、少しずれたのかもしれない」と話す。
イリエワニの雌は、産卵時に「塚」と呼ばれる盛り土を作り、その中に卵を埋める習性がある。外敵を欺くためにダミーを作ることもあり、「今回の卵は目立つ場所ではなく、塚の裾の部分から見つかった」と白輪園長は説明する。
卵は職員が一つずつ丁寧に掘り出し、室温30度の孵卵室に移した。有精卵であれば、産卵から1~10日で殻に「白帯(はくたい)」が現れ、それがふ化の兆候となる。順調に育てば、約85日後にふ化する見込みだという。
白輪園長は「一喜一憂しても仕方がない。そっと見守りながら、孵(かえ)るのを楽しみに待ちたい」と期待を込める。