下田市を流れる稲生沢川の深根橋下で7月8日、アユの友釣り体験が行われた。下田市立稲梓小学校(下田市椎原)の4年生7人が、伝統漁法によるアユ釣りに挑戦した。
「アユの友釣り」とは、他の釣りのように、エサに食いついた魚を釣るのではなく、生きたアユをおとりに使い、針に引っかけて釣る漁法。釣り針が付いた生アユを泳がせ、野アユ(川にいるアユ)と戦わせることで針に引っかけるという、アユの縄張り意識の強さを利用した釣り方。
稲梓小では地域の子どもたちに地元の自然に親しんでもらおうと、毎年4年生を対象にアユの友釣り体験を行っている。今年も稲生沢川非出資漁業協同組合の会員が中心となり、友釣り体験を行った。この体験授業は10年以上も続いているという。
7人の児童は自己紹介の後、それぞれ同漁協の組合員とペアになり、おとりの付け方などを学んだ。児童らは長さ9メートルもある竿(さお)を操りながら「アユは警戒心が強いので、あまり竿を引っ張らない」「あまり近づかないように。静かに」などの言葉に真剣に耳を傾けていた。
アユが釣れた児童はかぶっている赤白帽を赤にするというルールを設け、一目でアユが釣れたことが分かるようにして友釣りを体験。初めは白ばかりが目立っていた帽子が、徐々に赤い帽子に変わっていき、児童たちの楽しそうな声も聞かれた。
体験終了後の成果発表では、1時間ほどで7匹のアユと、その他の魚7匹が捕れたことを確認。「この体験を通して、子どもたちが地域の自然や伝統に愛着を持ってくれたら」と漁協の会員たちは話す。友釣りを体験した児童は「アユ釣りは初めてだけど、とても面白い。アタリがきたら引き方が違うから分かる」とうれしそうに話していた。
同漁協では、一般向けに遊漁証(河川で釣りをするための許可証、1日券1,000円、年券6,000円)やおとりアユ(1匹600円)を販売している。アユ釣りの解禁期間は6月1日~12月31日。