下田市在住の絵本作家で鳥の巣研究家の鈴木まもるさんの講演会「絵本と鳥の巣のふしぎ~鳥の巣が教えてくれること~」が6月29日、河津バガテル公園(河津町峰)のオランジェリーで開かれた。河津町を拠点に子ども向け自然体験イベントなどを企画する「あおぞらビレッジ」が主催した。
鈴木まもるさんは東京都出身の絵本作家で、38年前に下田市に移住。自宅の裏山を散歩中に見つけた鳥の巣に興味を持ち、図書館には鳥の本はあるが鳥の巣の本がなかったため、独自に研究を続けてきた。
講演会には、河津町、下田市、東伊豆町、伊東市から100人以上の親子が参加。鈴木さんはホワイトボードに絵を描きながら、絵本や鳥の巣、子育てについてジョークやクイズを交えて優しい口調で伝えた。
講演の途中、鈴木さんのコレクションである本物の鳥の巣をいくつか紹介し、参加者が実際に触れる時間も設けた。鳥の種類によって巣の形が異なることや鳥が巣を作る過程、鳥の巣を求めて世界各地を訪れた様子も紹介した。
鈴木さんは自身の子育ての経験にも触れながら、「絵本には作家が伝えたいことがあり、いろいろな世界や生き方を知ることができる。子どもにはたくさんの絵本を読んであげてほしい」「日本はこうでなければならないという考えが強い。テストの点数だけでは測れない、その子が持っている個性を伸ばしてあげることが大事」と呼びかけた。
さらに鳥の子育ての様子にも触れ、「鳥の巣は子どもが育つ場所で、親鳥は子どもに餌をあげたり巣を掃除したりして一生懸命世話をするが、子どもが飛べるようになると餌をあげることをやめて見守る。子どもがある程度大きくなったら親は離れるべき」とも語った。
鈴木さんは「自分の中では、絵本も、鳥の巣も、子どもたちが元気に育ってほしいという思いでつながっている。何より、子どもたちが元気に育つことが大事」と繰り返し、講演を締めくくった。
参加者からは「鳥の巣から世界が広がっていて興味深かった」「楽しい話で子どもも飽きずに聞いていた」などの感想が聞かれた。