下田セントラルホテル(下田市相玉)のコンベンションホールで元日、下田芸者による「新春祝いの舞」が宿泊客に向けて披露された。
同ホテルで正月に下田芸者が舞うのは今年で3回目。昨年暮れに創業40周年を迎えたばかりの同ホテルでは近年、「里山の別邸」というコンセプトの下、地元・下田の自然や文化に親しむ企画に力を注いでいる。総支配人の角田桂喜さんは「コロナ禍でストレスの多いお客さまに、里山でゆっくりと過ごしながら非日常な演目で目を楽しませてほしいと考えた」と企画の背景を話す。
舞が行われたのは朝食時。歌舞伎でも定番の「連獅子(れんじし)」、縁起物を並べた「初春(はつはる)」、健康と長寿を願う「寿(ことぶき)」などの演目を披露。宿泊客は和洋折衷の朝食に舌鼓を打ちながら、優雅な舞と三味線の音色を楽しんでいた。
下田芸者は江戸時代から続く伝統芸能。東西を結ぶ船舶の中継港だった下田で、礼儀作法と芸を持った町人の娘たちが、当時の役人らの接待の席に借り出されたことが始まりといわれている。
舞を披露した「下田芸者置屋 桝家(ますや)」には、新人や修業中の芸者も合わせて現在6人が所属する。代表の桝家奈美さんは「下田に根ざす芸者文化を絶やさぬよう、20年以上活動してきている。和の文化に興味のある人には、ぜひ活動に加わってほしい」と話す。