新年を祝う毎年恒例のイベント「新春もち投げ大会」が1月2日、堂ヶ島公園(西伊豆町仁科)で開催された。主催は西伊豆町観光協会。会場に向けて8000個の餅をまき、集まった地元住民や観光客ら約400人がにぎわいを楽しんだ。
同イベントは、イカの一本釣りなどが有名な仁科漁港で、豊漁と海の安全、家内安全を祈念して行われていた「漁船乗り初め」を発祥とする行事。漁業関係者の減少に伴い、2020年から会場を堂ヶ島公園に移し、地元住民に加え観光客にも楽しんでもらうことができる行事へと姿を変えた。年男・年女に限りスタッフらと一緒に「もち投げ役」を体験することができ、帰省や観光で県内外から訪れていた人を中心に計18人の年男・年女がもち投げ役として参加した。
星野浄晋町長はもち投げ開始に先立ち、元日に起きた「令和6年能登半島地震」について、犠牲者に哀悼の意を捧げた。続けて「伊豆半島に住んでいる私たちも南海トラフ地震が起きると津波が起きるといわれている。しかし、堂ヶ島に広がるこの素晴らしい景色は、噴火や地震などさまざまな災害が起きて出来上がった景色。そのことも踏まえて、堂ヶ島の観光を楽しんでもらいたい」とあいさつし、もち投げを始めた。会場に集まった参加者らは天に向けて大きく手を広げ、夢中で餅を拾った。中にはヘルメットを着用する参加者の姿も見られた。
「超大吉」「大吉」の当たり餅を拾った参加者には、地域の伝統保存食「潮かつお」を使った「初めての潮かつお3品セット」「万能潮鰹(かつお)茶漬け」を贈った。超大吉餅を獲得した千葉県在住の家族は「今回の旅行では、この餅投げをメインイベントとして楽しみにしていた。初めて参加したが、勢いに圧倒されて私たちも本気で拾った」と興奮冷めやらぬ様子で話した。
餅投げ役で参加した年男・年女らは息を切らしながらも、「これだけの数の餅を初めて投げたが、とても気持ち良かった」「爽快で楽しかった」と笑顔で話す声が聞かれた。「後方にいる人たちにも福をあげたいと、当たり餅も頑張って遠くへ投げた」とも。
来年も同時期の開催を予定している。