芥川賞作家の平野啓一郎さんの講演会などを通じて、下田がさまざまな文学作品とつながりの深い土地であることを探る「下田市文学シンポジウム」が11月21日、下田市民文化会館(下田市四丁目)で開かれる。
芥川賞作家・平野啓一郎さんの講演を知らせる「下田市文学シンポジウム」のポスター
豊かな自然や歴史と文化を持つ下田は、川端康成の「伊豆の踊子」をはじめとする多くの文学作品の舞台であり、著名な作家の滞在先として知られている。企画する下田市立図書館の鈴木美鈴さんは「川端康成はもちろん、三島由紀夫、種田山頭火、山本周五郎、幸田露伴など、下田に触発された文人が数多くいる。下田は歴史だけでなく『文学の宝庫』でもあることを、より多くの人に知ってほしいと考えた」と背景を明かす。
イベント前半では、今年発表した「三島由紀夫論」で小林秀雄賞を受賞した芥川賞作家の平野啓一郎さんを招き、「三島由紀夫、海そして下田」の演題で講演を行う。三島由紀夫は下田で執筆活動を行った作家の一人で、1964(昭和39)年から1970(昭和45)年まで毎年8月の約2週間を下田で過ごした。鈴木さんは「当時スランプ期だった三島由紀夫にとって、下田での滞在がどのような意味があったのかを知ることができる貴重な機会になるはず」と話す。
後半は、川端康成の「伊豆の踊子」や、山本周五郎などの文人が好んだ蓮台寺温泉を題材に、地元の研究者たちが下田文学の魅力を深掘りするパネルディスカッションを行う。
鈴木さんは「これを機会に下田に足を運んで『文学観光』を楽しんでほしい」と呼びかける。
開催時間は13時~16時。要事前申し込み。前日までにフォームか電話で申し込む。